マジックアワー【安井謙太郎】［完結］ (ページ3)

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「いいじゃん、俺が良いって言うんだから泊まってけば。」

その人は羽織ってた上着を椅子にかけるなり、冷蔵庫からワインを取り出し、ポン、って開ける。ひとくち飲んでから、

「俺、悪い奴じゃないよ。」

ワインのボトルをリビングのダイニングテーブルに持ってきて、座った。

とりあえず風呂入ってきな〜って、ぽん、って部屋着を渡される。いや女もんやん。誰の？彼女？

「それ、前来た子が置いてったやつ」
ってサラッと言ってから、「いや！待って！違う！笑」
ってガバって振り返る。
「まじで俺そういうのじゃないって！笑女友達！いや友達じゃないんだけど！笑」
あははって腹抱えて笑い出す。「はぁ〜俺なに真面目に説明してんだろ」

「あ、あとなんかそれ、外し忘れてるよ。」
私の薬指に嵌められた指輪をさす。
はっ、しまった。”外し忘れて”た。
え、でもなんで今この人…。
は…？って顔でその人を見てると、「早く入ってきなって風邪ひくよ〜」って椅子に座って足をぶらぶらさせた。

なんだこいつ。エスパーかよ。