６（Nside） ページ6
番組の収録を終えて楽屋に戻ると、約束通りミツはソファに座って俺を待っていた
「ミツ、お疲れ様。」
「おう…。」
きっと朝より辛くなってるはず
背凭れに体を預けたミツの目は、誰が見ても普通のそれではない
「じゃ、お先に。」
「おう。横尾さん、お疲れ様。藤ヶ谷、横尾さん頼むぞ。」
「了解。渉、行こうか。」
なのに…
なんでガヤは気付かないんだろう…？
思わず、楽屋を出ていく二人の背中を睨みつけてしまう
「ニカ、ほら早く準備しろよ。俺…マジで、待てねぇぞ…」
「あ、ごめんっ。すぐ着替えるから！」
はぁっ…っと息を吐いて、またソファに身を沈めるミツを、他の3人が心配そうに見つめる
そして、俺をちらりと見た
きっと3人ともそれぞれ、俺に言いたい事は違うはず
でも、俺が小さく頷くと3人は納得した様にそれぞれの場所へと戻って行った
「お待たせ、ミツ。」
「遅ぇよ。」
「文句言える元気があるなら大丈夫だね。帰ろっか。」
ふらりと立ち上がったミツがそのまま俺へと倒れ込んでくる
「ミツっ！」
「わりぃ…」
「ううん。ごめんね、辛かったよね。早く帰ろう。」
抱えるようにして、帰ったミツの部屋
散らかされたままの洋服は全部ミツのもので、本当にガヤは帰ってないんだと胸が苦しくなる
「ベッド行こうか。」
「ん…」
座っているのも辛そうなミツの着替えを手伝って、そっとベッドに寝かせる
「ニカ…みず…」
「ん、分かった。持ってくるね。」
キッチンに行く途中、リビングのテーブルの上をふと見ると、解熱剤の箱が無造作に置かれていた
中身はほとんどない
きっと毎日、薬を飲んで熱を抑えてたんだろう
でももう…それも限界だよ、ミツ…
冷蔵庫の中も、ほとんど入っていなかった
ミツが自分で買ってきたのだろう飲み物や食べ物がコンビニの袋に入ったまま乱雑に突っ込まれてる…
その中から水とゼリーを取り出す
「ミツ、水持ってきたよ。ちょっと起きれる？」
「ん…」
ゆっくりと体を起こそうとするけれど、力が入らないみたい
後ろからミツを抱えるようにして抱き起す
コップに入れた水を差し出すと、コクコクと喉を鳴らして飲み干した
その姿に泣きそうになって、思わず支える肩を抱きしめそうになった…
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 864人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：MISA
| 作成日時：2018年5月31日 16時
