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純白 ページ3
「さよなら。」
そう残して去る後ろ姿はとても綺麗で、ぼんやりと眺めることしかできない。
終わったんだ、何もかも。
彼女にフラれて、もう何年経っただろうか。
あの日から俺は立ち直れずにいる。
俺だけが、過去から抜け出せないでいる。
彼女は、白がとても似合う美しい女性だった。
それは外見だけではない。内面も真っ白で、純粋そのものだった。
海辺を歩く姿は神聖で、眩しくて目も開けられないほどだった。
日差しを受け、つやつやと反射する肌。
風に靡く、長く伸びた黒髪。
くりんとした睫毛。
ぷるぷるの口唇。
彼女の全てに魅せられた。そう簡単に忘れまい。
だが、ここまでとは思わなかった。
俺自身が一番驚いている。
どうして俺を捨てたの?
俺には君しかいないのに。君しか癒しがないのに。君しか居場所がないのに。君しか生き甲斐がないのに。
心に空いた穴は埋まることなく、数年放置されたまま。
からっぽを埋めるのは、君でしかできない。
だから俺は、いつまでも過去ここから動けないんだ。
INNOCENCE 『純白』
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作者名:名奈 | 作成日時:2021年5月15日 22時