ヒプノシス☆ホイク

流れる☆寂雷聖母説 ページ5

「では、みなさん手を合わせて。今日も尊い命に感謝して…いただきます」
『いただきます』


　今日はシンジュク組に来ている。昨日のシブヤ組とは一転、神聖すぎる教室。室内では讃美歌が流れ、中には手を合わせながら涙を流す園児も…って、え？


「ここってそういう保育園だっけ？」


　何もしゃべらず、黙々と食事をすすめる園児達。おかしい。私の知っている保育園のランチタイムは、「にんじんきらい」とか「ぎゅうにゅうこぼした」とか園児が騒ぎ、皿が割れたり床は食べ物で汚れたりと、先生達にとっては戦争のような時間。でもこの組の園児たちは、一言もしゃべらず、きれいにエプロンをまき…え、ナイフとフォーク使ってない？


「さぁ、A先生も一緒にいただきましょう」


　美しく、優しく、何故か安心してしまう声。にこりと微笑みながら声をかけてくれるその姿を見ると、何故か私も拝みたくなる…ああ、こういうことか。園児たちが囲んでいる食事用の長机の一番奥に美しい銀髪を靡かせながら座っている。後ろの窓から差し込む光で後光がさしているようで、いうなればその姿は聖母。園児用の机に座っているため長い脚が収まらずヤンキー座りっぽくなっているがきつくないのか、とか何故保育園で白衣を着用しているのか、とか最初に抱いた疑問はすぅっとどこかに消えていく。そうか、これが＿＿＿信仰心。


「あなたにもわかるようですね、この心」


　ふと、後ろから声をかけられる。声の方向に顔を向けると、そこには普通の保育園にはきっとないであろう高級そうな黒革のソファに園児達と腰掛けるスーツの男。胸にバラをさし、まるでホストのよう。右手にもったグラスをすこし上げ、小さな声で乾杯、と私の来訪を祝福してくれたようだ。グラスの中はきっとオレンジジュース。
　普通じゃない空間。きっと異質な空間。けどいいじゃないか。


「みんな違ってみんないい」


　気が付くと私は涙を流していた。



＊＊＊＊＊


『いや、おかしいだろ』


　後日、友人に電話で寂雷教の話をしたら正論吐かれて我に返ったのはまた別のお話。

それでもこの視界に☆ピンクブラ→←トんじゃうくらい☆freeなstyleで

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