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呼吸が安定したのを確認し、体を離す。無意識の内に長いため息が口から零れていた。
「はあぁ、焦った……」
「焦ったのはこっちだ。ったく、あんな映画なら発作が出る事ぐらい分かんだろ」
「この間スプラッタものを嬉々として見てた奴が何を」
そう、前に二人でSF映画を見に行くことになった時、それがとんでもないスプラッタだったのは記憶に新しい。顔の崩れた男がチェーンソーを振り回したり、化け物が人間を一瞬で肉塊にしたり……明治の時だってあんなに手酷くやらなかった。
あまりの情報量の多さに疲弊して映画館を出た私に対し、尾形は口角を上げて「悪くなかった」なんて言い放つものだからあの時は思いっきり腹パンを食らわせた。
「あれが大丈夫なら今回のも平気じゃないのか」
「正直俺も何が引き金になっているのか分からん。それに、また……」
「例の幻覚」
小さくコクリと頷く姿は、今よりもずっと幼く見える。彼は、発作が起こった時に稀に幻覚を見るのだと言っていた。
彼の言う「発作」は、強いて言うなら過呼吸に近い症状、と言ったらいいのだろうか。
本人によると、呼吸が浅くなり上手く息が吸えなくなるらしい。それと、発作の最中の記憶が飛ぶことがあり、その間代わりに幻覚を見るという。
「お前によく似た女が見えた。今よりずっと髪が短くなっていたが……」
「……成程」
――――嗚呼、間違いなく前世の記憶だ。
尾形が自覚していないだけで、彼の断片的な記憶は幻覚として浮かび上がってきている。それが前世の記憶だと教えれば、尾形はきっとあっさりと記憶を取り戻すだろう。
でも、思い出していいのか？
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−(プロフ) - わ〜！！！！そう言って貰えると励みになります！！！！！ありがとうございます！！！！！ (2021年10月29日 20時) (
レス) id: abbb997ccd (このIDを非表示/違反報告)
桜忌(プロフ) - めっちゃ好きです。これからも続き楽しみに待ってます！！ (2021年10月29日 1時) (レス) @page8 id: 542ce05019 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：− | 作成日時：2021年10月17日 22時
