ふたりの距離が近付いた日。 ページ7
その日は日直の仕事を終えたら教室でのんびりした。
早く帰らず、こうして一人の教室でのんびりするのが好き。
窓からの日差しが温かくて、つい寝てたみたい。
寝ていたAの耳に、ガラッと教室のドアを開ける音が飛び込んでくる。
「……?」
「A、早く来い。」
「糸師くん……?練習は……?」
「今日はコーチの都合で無くなった。いいから早く来い。」
「分かったよ、ちょっと待って。」
Aは手早く片付けをして、冴のところへ行った。
「…ここ……」
有名なカフェの移動販売……?
そこで彼はブラックコーヒーを買っていた。
「糸師くん、私……」
Aはこの時、財布を家に置いてきてしまっていたのだ。何故なら、冴にあげたスパイクに殆どつぎ込み、財布の中は数百円しか残っていなかったから。
「お前は今金を殆ど持ってないんだったな。」
「イジワルだなキミは!財布忘れただけだし!」
「飲め。」
そう言われ、ズイッと差し出されたのは……
「ココア……?何で私が好きなの知ってるの……?」
「お前いつも昼休みに飲んでんだろうが。それともコーヒーのほうが良かったか。」
「ううん、自分は甘いほうが好き。コーヒーはイヤ。だって猫舌なのに熱さに加えて苦いもの私は飲めないもん。」
「ガキだな。」
「イヤミな子だなキミは!」
ビックリした……糸師くんってサッカーのことしか興味なくて、周りのこと全然把握してないのかと思ってた……
案外、見ててくれるんだ。
そう思ったら嬉しくて、口元緩んじゃった。
この日からAは、少しずつ恋愛的な意味で糸師冴に惹かれていき、猛烈なアピールを続けた。
けれど冴は中々振り向いてはくれなかった。
だからAは、ちゃんと告白することにした。
これで駄目だったら……諦めよう。
「糸師くん。私は君のことが大好き。私は天才って呼ばれる君の孤独をよく知ってる。絶対君を一人にしたりしないわ……!ダメだったとしても、それだけは絶対伝えたかったの。」
「……なら、付き合うか。」
「……っ!根負けとか、そう言うんじゃないよね……?」
「お前は俺が誰かに流されて首を縦に振ったり、好きでもない人間と付き合うような奴に見えるのか。」
「全っ然!……へへっ、嬉しい。」
「フン。」
この日から、Aは晴れて糸師冴の恋人になった。
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桜花(プロフ) - 真昼さん» コメントありがとうございます♡この作品もお気に入りなので続きをお楽しみに! (2023年2月3日 19時) (
レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 冴が本当に好きなので、嬉しかったです\(//∇//)\続きが楽しみです！ (2023年2月3日 16時) (レス) @page16 id: 94c427d0c3 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - らむねさん» コメントありがとうございます!こちらの作品も無理せず自分の納得が行くように頑張ります! (2023年1月1日 20時) (レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
らむね - 凛君の作品の方から来ました！！糸師兄弟結構好きなので嬉しいです！無理せずに自分のペースでいいので頑張ってください！！ (2023年1月1日 14時) (レス) id: 41465224bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜花 | 作成日時：2022年12月31日 21時
