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愛しくて仕方のない、大好きなあなた。 ページ21

遠く離れた場所にある海。

そこで冴とAは車から降りた。

「……お前は約束を破って俺と別れるつもりでいたと知った時はどうしてやろうかと思った。お前は予想以上に度胸がある奴だったんだな。」

そう言って振り向いた冴くんの顔は、やっぱ怖くて。

やっぱり怒ってるよね、悲しかったよね……

そう思えば、Aは今になって自分の罪の重さを思い知った。


「お前はあの時……どう思っていたんだ。」

「……本当は私だって……ずっとずっと冴くんが寂しくて、恋しくて恋しくて堪らなかった……!!」

Aはどうしようもなく辛かったあの日々を思い出して、泣き出した。

「あなたの傍にいなかった時間に、色んなことがあった……本当に、沢山の色んなこと。冴くんじゃない男の人と過ごす時間が、たくさんあった。」

「……」

無言で冴はAを抱きしめた。

「ごめんなさい、ごめんなさい……!」

「……言っておくがA。俺は許してやるような優しい男じゃねぇ。お前は一生俺のそばで、俺だけのために生きろ。もうまた俺を……独りにするな。」

「……!」

冴はAの指からそっと指輪を外し、冴と同じ婚約指輪を彼女の指に嵌めた。

……バカね、私。

独りになる孤独も寂しさも……誰よりも知っていたのに。

それを愛する人にその孤独を、味わわせようだなんて。

この人は…糸師冴という天才は、独りにしちゃいけない。
私が隣にいないと、この人は幸せになれない。

あの頃の私はそれだけの自信と強さがあった。
そっか。私は冴くんの隣にいるためにサッカーも自分磨きも頑張ってきたんだった。

もう椿は落ちてしまったけれど。また新しい花を咲かせればいい。

「冴くんのためだけに生きたら……許してくれるの?本当に、それだけでいいの……?」

「何言ってんだお前。お前はこんな面倒くせぇ男と一生付き合ってかなきゃならないんだぞ。お前はこれを簡単だと思うのか。」

「冴くん、それは私にしか出来ないわ。こんな幸せなこと、世界中どこを探しても、冴くんの隣しか、見つからない。だから、こんなもの、もう要らないね。」

Aは外された指輪を投げ棄てようとした。

それを冴は止めた。

「……女にとって指輪は大切なモンなんだろ。ならお前がやらなくていい。コレは、俺がやる。」

冴はAから指輪を受け取り、彼方へ投げ棄てた。

その指輪は、深い海の底へと沈んでいった。

変わったね、お互いに。→←強引で無理矢理な王子さま。



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桜花(プロフ) - 真昼さん» コメントありがとうございます♡この作品もお気に入りなので続きをお楽しみに! (2023年2月3日 19時) (レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 冴が本当に好きなので、嬉しかったです\(//∇//)\続きが楽しみです! (2023年2月3日 16時) (レス) @page16 id: 94c427d0c3 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - らむねさん» コメントありがとうございます!こちらの作品も無理せず自分の納得が行くように頑張ります! (2023年1月1日 20時) (レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
らむね - 凛君の作品の方から来ました!!糸師兄弟結構好きなので嬉しいです!無理せずに自分のペースでいいので頑張ってください!! (2023年1月1日 14時) (レス) id: 41465224bb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜花 | 作成日時:2022年12月31日 21時

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