弟へ託した、恋人への想い。 ページ11
家のチャイムが鳴り、糸師家の母は手が離せなかった為、凛が代わりに出ることになった。
「あっ……A、久しぶり。」
「凛君……久しぶり。」
「今日はどうしたんだ?Aが来るって珍しいけど……」
「コレ、冴くんが帰って来たら渡してくれる……?」
「何で俺なんだよ、自分で渡せよ。帰って来たら会えるだろ。」
「そうなんだけどね、私忘れっぽいからさ。手紙の存在忘れそうだし、なくしたら嫌だし。」
「何だよソレ。」
Aは冗談っぽく笑ってみせた。
……本当はこんな手紙、死んでも大好きな人に届けたくない。
今すぐビリビリに引き裂いてやりたいくらい、伝えたくないことばかりが書かれた最悪な手紙。
けれど、渡さなければならない手紙。
これは君に頼むよ、凛くん。
私ともう一人だけの、世界で一番、冴くんに信頼されている君に。
冴くんは私を男の子と二人きりに絶対したがらない。
けれど夜遅い時間に先に私だけが帰らなくちゃいけないとき、彼は凛くんと私を一緒に帰らせた。
いつも絶対そんなことしないのに、どうして?と聞いたら、
凛は俺の恋人に手ぇ出したりするようなヤツじゃねえ。俺の弟だからな、って言ってた。
「じゃあ、お願いね。」
「あっ、オイ……!A……!」
Aは凛に背を向けて走り出して、行ってしまった。
多分、ここが恋の終わり。
君への想いに終わりなんてないけど、私たちはもう、ここで終わってしまうんだ。
糸師家がずっとずっと遠くなった、一人ぼっちの夜空の下でAは止めどなく流れていく大粒の涙を零した。
帰ってきた糸師冴の隣に、恋人はいない。→←彼女は、失うモノが多すぎた。
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桜花(プロフ) - 真昼さん» コメントありがとうございます♡この作品もお気に入りなので続きをお楽しみに! (2023年2月3日 19時) (
レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 冴が本当に好きなので、嬉しかったです\(//∇//)\続きが楽しみです！ (2023年2月3日 16時) (レス) @page16 id: 94c427d0c3 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - らむねさん» コメントありがとうございます!こちらの作品も無理せず自分の納得が行くように頑張ります! (2023年1月1日 20時) (レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
らむね - 凛君の作品の方から来ました！！糸師兄弟結構好きなので嬉しいです！無理せずに自分のペースでいいので頑張ってください！！ (2023年1月1日 14時) (レス) id: 41465224bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜花 | 作成日時：2022年12月31日 21時
