もう一度走り出した赤豹。 ページ17
チームWとZの試合。
実力差もある上に、裏切り者が出て、点数取られて。
俺達が諦めるのには充分で。
……あと5分。
あと5分で俺たちは負ける。
これで俺のサッカーは終われる。
「ボーッとすんな!!拾え!!」
潔の声に、咄嗟に脚が動いた。
走ってきた潔は俺を突き飛ばして進んでいった。
A、俺……思い出したんだ。
あの頃のこと。潔を見ていたら、アイツはあの時の俺と同じだって。
無くしちゃいけないのは、信じなきゃいけないのは……
今潔を見て熱くなってるこの俺の滾りだ…………!!!!!
もういい……
壊れるなら壊れろ……これで最後でもいい。
行くぞ右足……
世界一のストライカーは……俺だ!!
その合図で、赤豹はもう一度、走り出した。
千切豹馬は失っていた力を取り戻し、彼の大健闘もあってチームZは勝利を収めた。
豹馬と世一は、強く手を取り合い、世界一のストライカーの座を共に奪い合う者へと……名実ともにライバルとなった。
A、俺はまだ走るぞ。
お前が生きることを諦めないように、俺も絶対に諦めない。
この足で、俺は世界一のストライカーの座に、誰よりも速く着いてみせる。
またお前に会えるときは、お前に謝るよ。嘘をついていたことも、本音を隠していたことも。
それでお前に嫌われたら……それは自業自得だと受けとめる。
許されることではないと、俺自身も思っている。
俺は上手く言葉に現せないから、今の俺を、精一杯動いて示していくよ。
A、お前、絶対生きろよ。
遠い場所にいる、大切な女の子へ、千切豹馬は今日も思いを馳せる。
その頃のAは、病院の手術室にいた。
「……先生、」
「何?」
「……私、また生きてこっちに戻ってこれるかな。また、先生と家族と……豹馬に会える?」
「会えるさ。もちろん。」
「……もし……もしね、私があの綺麗な青空に飛んでいくことになったらね、私の大好きな豹馬に伝えておいてほしいんだ。」
Aが担当医にそう話していると、主治医の声がかかる。
「Aさん、もうお時間です。麻酔を始めます。」
「……豹馬、愛してる。」
その声と共に、Aは深い眠りについた。
新作タイトル!【黒名くんにきゅんな毎日。】→←若き彼らの、まっすぐで大切な、告白と約束。
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桜花(プロフ) - きのこさん» おお!?そこに気づいてもらえたの嬉しいです!最初は早くに現れた王子様にする予定だったんですけど彼は自他共に認める足の速さを持つので、そこを活かさないわけには行かない!と思って書きました!いつもコメントありがとうございます! (2023年3月20日 12時) (レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - お前のもとに誰よりも速くに辿り着いた王子様が、俺で。ここ!めっちゃいい!!足の速さの事もあって書いたと感じました!!🫶 (2023年3月20日 12時) (レス) @page22 id: fc65f8a88c (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - きのこさん» コメントありがとうございます!まさか千切くん九州男児とは……言われてみれば方言ないですよね(だから気づいてないのですけども)方言千切くんもちょっと見てみたいですけど! (2023年3月9日 12時) (レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - ほーい!東京近辺ね!!千切は方言とかなくて赤髪だからだから都会感あるからしゃあない! (2023年3月9日 9時) (レス) @page20 id: fc65f8a88c (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - きのこさん» コメントありがとうございます!!ロマンを追い求めて作ってるのでもっと素敵になるよう、次の更新も頑張ります!! (2023年2月26日 17時) (レス) @page19 id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜花 | 作成日時:2022年12月11日 17時