検索窓
今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:12,442 hit

第9話 ページ10

間違いない。今、レジでレンタル手続きをしてくれている彼は、花垣武道君だ。

会計が終わって、もう外に出なくちゃいけない。
でも、ここで逃したらもう会えないかもしれない。

今は遅い時間だし、他に客もいない。

「あ、あの……!」

「はい?」

「花垣武道君、ですよね……?」

「何で俺のこと……?」

「Aです。覚えてない、かな……?」

「……?……!!え、Aちゃん!?」

大声を出してしまい、慌てて口を塞ぐ武道くん。

「久しぶりだね。」

「すっげぇ久しぶり……中学以来……?」

「そうだね。中学生の受験期、忙しかったし、急に連絡途絶えさせちゃってごめんね。お母さんに武道くんの連絡先消されちゃったから……」

「そうだったんだ……」

「うん。武道くん、お仕事終わるまで待つからさ、一緒に帰らない?ちょっと、話したいことがあるんだ。」

「え、仕事終わるまであと1時間くらいだけど……いいの?」

「うん。久しぶりに会えて嬉しいから。」

「わかった。なるだけ早く終わらすから。」

「うん、わかった。また後でね。」

***
ビックリした……

まさかAちゃんに会うとは思ってなかった。

Aちゃんは、5歳の時に知り合った俺の幼馴染。
小学生になってから、カクちゃんと3人で遊ぶことも多かった。

頭が良くて、運動はそこそこ、かわいい女の子だった。
優しくて、彼女を好きなヤツもいれば、気を引きたくてわざと意地悪するヤツもいたな。

俺にとっても大切な女の子。

だけど俺、こんな姿で会いたくなかった。
情けねぇ……

なのに何でAちゃんは、1時間待ってでも俺と話がしたかったんだろう……

仕事が終わって店を出たら、近くで何かを買っている彼女の姿を見つけた。

……Aちゃん、ホント綺麗になったな。

最初見たとき、全然分かんなかったもん。

こんな美人、俺の知り合いに居たっけって、思うくらいに。

鼻を赤くし、マフラーに顔をうずめる彼女の横顔は、本当に綺麗だった。

第10話→←第8話



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (48 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
73人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:桜花 | 作成日時:2022年10月20日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。