第20話 ページ22
私は、彼が死んだと同時に、過去に戻っていた。
何故かはわからないが、恐らく、今までのように自分が決めた時に戻ることはできないが、彼がタイムリープする瞬間に彼とともに戻ることになるのだろう。
力は彼に渡しているのだから、当然だろう。
もう未来視も出来ない。ぼんやりとしか視えていないから、自分に危険が迫っても使い物にならない。
けど大丈夫。
私は警察官だったんだから。
本当は良くないけど、動ける。喧嘩もできる。自分の身も守って見せる。
Aは長い髪をフードに入れて、男と偽り、東京卍會に入った。
***
祭の時、Aは直人に誘われていた。
しかし、兄の話が微かに聴こえていたAはその日を不安に思い、遅くなってもいいなら、と返事をしていた。
武道くんがヒナちゃんを助けるためにどうしたいのかはわからないけれど……
武道は清正の前に連れて行かれ、身体をテープでグルグル巻きにされていた。
武道くんはさっきヒナちゃんを1人置いてここに来たよね、今1人にさせておくのは心配だわ……!
Aは日向のもとへ走った。
でもどうしよう?
ヒナちゃんと私は知り合いだけど、東京卍會としての私は知られては困る……上手い具合にごまかせるかしら。
!居た、ヒナちゃんだわ…!
「橘さん……!」
「えっ、えっと、あなたは…」
「いきなりすみません。僕、武道くんの友達の……凛っていいます!武道君が危ないんです…!どうか、一緒に来てもらえませんか!?」
偽名ごめんねヒナちゃん、でも、武道君が危ないの…!
***
「あそこです。ごめんなさい橘さん、僕はもう行かなくてはいけなくて……今ここは物騒です。何かあったら、この番号の彼に電話してください。きっと力になってくれます。」
「ありがとう、凛くん。」
「いいえ。お気をつけて。」
Aは過去に戻ってから何度か話したことのある千堂敦の連絡先をヒナに渡した。
の陰で、口づけを交わす二人を優しく見守って、Aは
そっとその場を離れた。
直人くんとの待ち合わせ時間に送れないよう、急がなくちゃ。
ごめんね武道くん。
多分、まだ何か起きるのは分かってる。
けど今の私じゃ、これくらいしか力になれないや。
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作者名:桜花 | 作成日時:2022年10月20日 21時