第三十一話 ページ34
今日は蘭ちゃんと竜ちゃんと学校帰りに水着買いに行くんだ〜。私は滅多に海行けてないから持ってなかったの。
「わぁ…かわいいのがいっぱい…迷う…!」
隣には目ぇ輝かせながら周りをキョロキョロするA。
「好きなの選べよ。」
「選択肢がめっちゃ広くて悩む!」
「A〜」
「蘭ちゃん?」
「これとかどう〜?」
「ちょ、兄ちゃん!Aにそれは早ぇえよ!!」
「わ!?」
兄ちゃん、中1の妹相手になんてもん持ってくんだよ!
急いでAの両目を塞いだ。
「A行くぞ!兄貴に構ってたらろくなもん持ってこねぇ。」
「あ、ごめんね蘭ちゃん。」
蘭ちゃんはちぇ〜と言いながら元に戻してたみたい。そしたらお姉さん達に絡まれてた。
竜ちゃんに手を引っ張られながら歩いてたら、店員さん達の声が聞こえた。
「あら、学生のカップルね。」
「かわい〜」
その声が聞こえると、竜ちゃんがパッと手を離した。
「悪りぃ。」
「……」
何だか、少し寂しかった。
「ねぇ、私達確かにカップルじゃないけど、仲の良い兄妹じゃない。だから、堂々としていようよ。」
Aは俺の手を取って、笑いかけた。
俺だって、出来ることなら堂々としていたい。
でもソレは、兄妹としてじゃない。
恋人として。
それが俺の願いなんだよ、A。
なんて、前にいるAは知らない。
***
「ん。Aには絶対コレが似合う。」
そう言って、竜ちゃんが手渡してくれたのは白いワンピース状の上品なものだった。
「かわいい…」
試着室に入ったAを待つ。
するとカーテンの開く音がして、Aがひょこっと顔を出した。
「どう?」
兄貴が選んだやつより、絶対こっちの方が似合ってる。
「似合っ─」
「竜胆オマエ硬派だな〜もっとスゲェのあるのに」
「兄ちゃん!!」
「まぁ似合ってるからいんじゃない?A、ごめんな〜、俺ちょっと予定入っちまったからさ、竜胆と好きなとこ遊んでけ〜。」
「あ、そうなの?蘭ちゃん、気をつけてね。」
「ん。また後でな♡」
***
「A、あれやろうぜ。」
「銃のゲーム、やったことないよ?」
「やり方教えてやる。」
そしたら私に銃を握らせて、後ろから肩を抱いて、もう片方の手は銃を握る手に添えられた。
「構えはこう。弾が切れたらペダル踏んで
「うん、やってみる!」
竜ちゃんの添えてくれる手が優しくて、胸がきゅっとなった気がした。
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作者名：桜花 | 作成日時：2022年9月4日 18時
