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第26話 ページ27

「…」

カラカラと点滴を押しながら夜の暗い病院の廊下を歩く。
熱い…また熱出てきちゃったみたい…
Aはとても汗をかいており、その不快感から目を覚ました。

…私、死んじゃうのかな。…いやだ、こわいよ…。
でもこの息苦しさから逃げ出したい。楽になりたい。
じゃあどうすればいいの…?

…?誰かの声がする…?そこの待合室から…
Aは陰からそっと覗いてみることにした。

「!?」

ココ君…!?それに兄ちゃん…
ココ君は顔を両手で覆って、肘を膝に置いて、震えていた。

「イヌピー、俺はどうすればいい…?俺、Aちゃんまで居なくなったら…本当に独りぼっちになりそうで怖いんだ…赤音さんのこと好きだって、俺が守るって言ったのに、結局無理だった…!なんで俺の大事な人は俺の元から去っていくんだ…!!」

青宗は一の肩に両手を置いて、まっすぐ見つめて言った。

「Aは赤音じゃねえぞココ。赤音は死んだけど、Aがまだ生きてる。Aは本気でお前が好きだ。お前といるときが一番楽しそうなんだ。お前までそうなっちまったら、Aが押し潰される。」

「…イヌピー…」

…そうだったんだ…ココ君、お姉ちゃんのこと…
なのに私は…お姉ちゃんに助けてもらっておきながら、あんなひどいことをココ君に…

…ココ君も本当は怖かったんだ…私みたいに、一人ぼっちになるかもしれない恐怖におびえて。
本当はなんとなくわかってた。私のこと、そういう意味で好きじゃないって。

ボロボロと涙が溢れて、床に落ちていく。

"じゃあ私の生きる意味ってなに?"

病弱で外に出られなくなってから毎日のように考えるようになった1つのナゾ。

ココ君が私を好きなわけじゃないと知った今、もうないと思いたかった。
やっぱりココ君はずるくて、すごいなぁ…

死ぬのがこわいのに、つらい思いをしながら生きるのもこわい。そんな怖がりでおくびょうな私に、一瞬でマホウがかかったみたい。

…私、生きなきゃ。こんなところで、死ねない。
何が何でも、死んじゃだめ。

死んだらココ君も兄ちゃんも、家族にも二度と会えない。
形はちがっても、ココ君が私にいてほしいって願ってる。


乾A。彼女は九井一が前を向けるよう、自身のすべてを捧げるために生きている。

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桜花(プロフ) - 月華さん» 読んでいただき本当にありがとうございました!!ココ君の気持ちからしても主人公からしても辛いお話でした。切ないお話は初でしたので沢山考えて頑張りました! (2022年8月1日 5時) (レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 桜花さん» 切なくてそれでも温かいお話でした。夢主ちゃんと結ばれて欲しいような気もしましたがそれではココくんはずっと赤音さんを切れないんだろうなと。素敵なお話しありがとうございました。 (2022年8月1日 2時) (レス) @page39 id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 雪海さん» この物語もいよいよ終盤に向かってきてますね…最後までお付き合い下さいませ! (2022年6月26日 11時) (レス) @page27 id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
雪海(プロフ) - うう…切ない (2022年6月26日 10時) (レス) @page27 id: ea036f2a24 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 引きこもり隊さん» プレゼントの渡し方はこれがロマンチックかなって思ってましたっ!!こういう雰囲気いいですよね!!! (2022年6月22日 21時) (レス) @page22 id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜花 | 作成日時:2022年5月28日 19時

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