第23話 ページ24
「ココ君…?…寝ちゃってる…」
今日はココ君が家に来て、一緒に勉強をしていたんだけど…
ココ君、疲れて眠っちゃったみたい。
「…」
ココ君の頭を撫でてみる。いつも撫でられるから、こうして撫でるのは、何だか不思議な感じがした。
その時、ココ君が私の手を掴んだ。
「!?」
「行くな…赤音さん…」
…え?お姉ちゃん…?
「どこにも、行かないでくれ…」
お姉ちゃんとココ君がどういう関係なのか、知らない。でも、お姉ちゃんの名前を呼ぶココ君の声は凄く優しくて、悲しかった。ココ君の瞳から零れ落ちる涙を見ていると、お姉ちゃんのことを大事にしていたのかな、なんて思った。
「…大丈夫、ここにいるよ。どこにも、行かないよ…。」
私はお姉ちゃんじゃないけれど。
*****
「Aちゃん!今日の演奏良かったよ!」
「ありがとう。」
「これあげるー!」
「え、いいの?」
「うん!」
花束を貰ったり、手紙を貰ったり感想を伝えられたり…発表会を終えた彼女のもとに色んな人が集まっていた。
「…!ココ君…!」
彼女が俺を見つけて駆け寄ってくる。今日の演奏、良かったぜ、そう伝えようとした時だった。
ほんの一瞬。
それなのに、俺には彼女の動きがスローモーションに見えた。
次の瞬間、バタン!と音がして、彼女は倒れてしまった。
「…A…ちゃん…?」
*****
「A…大丈夫…?」
ぼんやりと目を覚ますと、そこにいたのはおばあちゃん。
「…?」
「A、あの後倒れたのよ、覚えてない?」
そうだっけ…?よく思い出せない…
「…それで、あなたの病状が…悪化しちゃったみたい…。」
言葉は何も出てこなかった。
「早期に手術できれば、大丈夫だそうよ…大丈夫、きっと何とかしてみせるわ。」
おばあちゃんの話が、全然耳に入ってこなかった。
*****
一方その頃、九井一、乾青宗、花垣武道は武藤泰宏に拉致されていた。
九井は金を創る天才だ。
犯罪組織を作りたいのであれば、何としても手に入れなければならない。
「…お前は天竺に入るしか無い。…あの子を巻き込みたくないのならば。」
「…あの子…?…!!まさか…」
「今あの娘がいる病院はもう特定済みだ。俺の部下がもうその病院に向かっている所だ。お前の返事次第では部下を止めてやろう。…選べ。」
このままじゃ、イヌピーも花垣も死んじまう。
…そして、あの子から笑顔が奪われてしまう。
”ココ君!“
…そんなの、答えは1つしかねえじゃねぇか…
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桜花(プロフ) - 月華さん» 読んでいただき本当にありがとうございました!!ココ君の気持ちからしても主人公からしても辛いお話でした。切ないお話は初でしたので沢山考えて頑張りました! (2022年8月1日 5時) (レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 桜花さん» 切なくてそれでも温かいお話でした。夢主ちゃんと結ばれて欲しいような気もしましたがそれではココくんはずっと赤音さんを切れないんだろうなと。素敵なお話しありがとうございました。 (2022年8月1日 2時) (レス) @page39 id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 雪海さん» この物語もいよいよ終盤に向かってきてますね…最後までお付き合い下さいませ! (2022年6月26日 11時) (レス) @page27 id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
雪海(プロフ) - うう…切ない (2022年6月26日 10時) (レス) @page27 id: ea036f2a24 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 引きこもり隊さん» プレゼントの渡し方はこれがロマンチックかなって思ってましたっ!!こういう雰囲気いいですよね!!! (2022年6月22日 21時) (レス) @page22 id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜花 | 作成日時:2022年5月28日 19時