第22話 ページ23
「あ！いらっしゃいココ君…！」
「うおっ！…ったく、Aちゃんはともかくお前まで思っきし抱きつくなよジョン…」
冬、おばあちゃんちは雪がよく積もるの。そこでジョンと遊んでたらココ君が着いたみたいで、私とジョンが思いっきり抱きついたから皆で倒れる。
「お、新しい耳あて？似合ってんじゃん。」
「そう？えへへ。」
俺があげた真っ白なうさぎの耳あてを彼女はもう使ってくれていた。
「実はね、今年サンタさんが2つプレゼントくれたの。これもかわいいでしょ？」
彼女は水色のマフラーを着けていた。手編みだろうか。おそらく彼女の祖母が贈ってくれたのだろう。
「良かったな。」
「うん！よーし！いっぱい遊ぶぞー！」
雪合戦で勝負だからね！ジョン、絶対勝つよー！と笑う彼女。バウッ！と元気な返事を返し、彼女の周りを駆け回るジョン。
赤音さんと似ているけれど、彼女は違う。
赤音さんが生きていたら、今頃は何をしていただろうか。
俺からしたら十分大人だったけど…成人を迎えて、大人になった彼女は、一体どんな人になっていたのだろうか。
母親になっていたら、どんなお母さんだったのだろうか。
どんな子どもが生まれていたのだろうか。
この子と居るたびに、俺は赤音さんとの未来を想像してしまう。
…それは彼女を子どもとして見ているからか？
この子は本気だ。
あの日の俺と同じように。
俺が彼女のことを子どもだなんて一線引いてしまえば、俺はあの日の俺を否定してしまう。
彼女が好きだという決して偽れない真実を、否定してしまう。
*****
「ゴホッ、ゴホッ…」
「大丈夫か！？」
「なんか、冷えてきちゃったみたい…」
「中入って休もうか。背中乗りな。」
「ごめん…」
…何だか最近、彼女の体調は優れない。
顔色も良くないように見える。
「…何か、軽くなったか…？」
「ゴホッ…そう…？」
こんなに前軽かったっけ…？
前彼女をおぶった時、こんな軽くなかった。
あの時は年相応にあまりないものだと思っていた。けれどそれは、彼女が病弱だからか…？
「最近飯食えてるか？」
「…あんまり食べれてない…」
「学校へは?」
「…行けてない…」
何だか彼女の場合、単なる風邪じゃない気がする。
Aちゃんの下駄の鼻緒が切れておぶって帰ったあの夏の蒸し暑さが、真冬で寒い筈なのに、鮮明に思い出される。
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桜花(プロフ) - 月華さん» 読んでいただき本当にありがとうございました！！ココ君の気持ちからしても主人公からしても辛いお話でした。切ないお話は初でしたので沢山考えて頑張りました！ (2022年8月1日 5時) (
レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 桜花さん» 切なくてそれでも温かいお話でした。夢主ちゃんと結ばれて欲しいような気もしましたがそれではココくんはずっと赤音さんを切れないんだろうなと。素敵なお話しありがとうございました。 (2022年8月1日 2時) (レス) @page39 id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 雪海さん» この物語もいよいよ終盤に向かってきてますね…最後までお付き合い下さいませ！ (2022年6月26日 11時) (レス) @page27 id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
雪海(プロフ) - うう…切ない (2022年6月26日 10時) (レス) @page27 id: ea036f2a24 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 引きこもり隊さん» プレゼントの渡し方はこれがロマンチックかなって思ってましたっ！！こういう雰囲気いいですよね！！！ (2022年6月22日 21時) (レス) @page22 id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜花 | 作成日時：2022年5月28日 19時
