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第19話 ページ20

朝。
昨日ぐっすり眠れた彼女はすっかり元気を取り戻していた。
ジョンの散歩に一緒に行ったりもした。

俺はいつも騒がしい都会にいるから、静かな田舎の朝は清々しくて気持ちが良かった。

「ココ君、もう帰っちゃうの?」

「ああ。ごめんな、また来るから。」

彼女の背丈に合わせて屈む。

「…」

彼女はぎゅっと俺に抱きついた。

「…次いつ会える?」

「そうだな…暫くは会えねぇから…ハロウィンに会おう。また来てもいいか?」

「うん…約束ね。」

それでも寂しそうな彼女に、俺はこう言った。

「最近じゃ毎日会うのは無理だけど、手紙ならかけると思うぜ。だから、手紙でやり取りしよう。ちょっと待ってな。」

俺は彼女の手に住所を書き込んだ。

「ここに送ってくれ。そしたら俺がちゃんと返事を出すから。会えなくても、俺たちが繋がるように。」

「うん…!!」

「じゃあまたな。」

*****
そこからAちゃんの手紙は毎日のように届いた。
彼女がここまで筆まめだと思わなくて返事を書くのは大変だったが、楽しかった。

来ていない日が、少し寂しく感じられるくらいに。

ハロウィンはあっという間に訪れて、俺はまた彼女のもとへ行った。

「ココ君ココ君…!」

「何だ?」

「これ、ココ君のために作ったの!ぜーったいにあうから着てみて!おばあちゃんがね、手伝ってくれたの!」

彼女が持ってきたのはヴァンパイアの衣装だった。
着替え終わると…

「ココ君かっこいい!!やっぱりよく似合う!!」

「ありがとな。さーてと、Trick or Treat?」

「え!おばあちゃん!お菓子焼けた!?」

「あらあら、焼き上がるのはあと二十分後よ。」

「お菓子持ってない〜!」

「あー、そんな悪い子の血は吸っちまうぞ。」

「きゃー!」

「コショコショ…どうだ参ったか?」

「あははっ、くすぐったい!!」

なんだか今日のハロウィン、今までで一番楽しかった!

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桜花(プロフ) - 月華さん» 読んでいただき本当にありがとうございました!!ココ君の気持ちからしても主人公からしても辛いお話でした。切ないお話は初でしたので沢山考えて頑張りました! (2022年8月1日 5時) (レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 桜花さん» 切なくてそれでも温かいお話でした。夢主ちゃんと結ばれて欲しいような気もしましたがそれではココくんはずっと赤音さんを切れないんだろうなと。素敵なお話しありがとうございました。 (2022年8月1日 2時) (レス) @page39 id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 雪海さん» この物語もいよいよ終盤に向かってきてますね…最後までお付き合い下さいませ! (2022年6月26日 11時) (レス) @page27 id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
雪海(プロフ) - うう…切ない (2022年6月26日 10時) (レス) @page27 id: ea036f2a24 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 引きこもり隊さん» プレゼントの渡し方はこれがロマンチックかなって思ってましたっ!!こういう雰囲気いいですよね!!! (2022年6月22日 21時) (レス) @page22 id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜花 | 作成日時:2022年5月28日 19時

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