第12話 ページ13
「ココ君、ココ君…!」
「何だ?」
「明後日ね、町の夏祭りがあるの!一緒にいこうよ!」
「ん、いいぜ。」
「ぜーったい浴衣着て来てね!」
「わかったよ。」
****
当日。
「ココ君!おまたせ!」
「大丈夫だ。」
「浴衣!どう!?」
「似合ってる、可愛いな。」
「やったー!ココ君は…」
そう言いかけたA。改めて見る、黒い浴衣に身を包んだココ。
どきまぎして顔を赤くしながらも興奮気味に、
「すっごくカッコイイよ、ココ君…!!」
「ははっ、ありがとな。じゃあ行くか。何食べたい?」
「綿あめ!」
「りょーかい。今日はAちゃんが行きたい屋台全制覇しようぜ。」
「うん!」
*****
「Aちゃん、おまたせ…」
人が混んでいたのでAちゃんをベンチに座らせていた。
そこに座っている彼女が、じっと見つめていたのは…
幸せそうな家族たちだった。
父親に母親、Aちゃんと同い年くらいだろうか、女の子が真ん中で笑っている。その子には兄らしき男の子と、姉らしき女の子がいた。
幼いその横顔が、とても寂しそうだった。
そしてその顔は、酷くあの人に似ていて。
普段は遠くにいる両親。
今は少年院にいて、会えない兄。
そして、もう二度と逢えない、今は亡き姉。
彼女のちいさな手から、あまりにも多くの幸せが、こぼれ落ちてゆく。
セミの声や花火の音、人の話し声。
ここはこんなに騒がしいのに、俺とあの子の間だけは、何故かこんなにも静かだ。
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桜花(プロフ) - 月華さん» 読んでいただき本当にありがとうございました!!ココ君の気持ちからしても主人公からしても辛いお話でした。切ないお話は初でしたので沢山考えて頑張りました! (2022年8月1日 5時) (レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 桜花さん» 切なくてそれでも温かいお話でした。夢主ちゃんと結ばれて欲しいような気もしましたがそれではココくんはずっと赤音さんを切れないんだろうなと。素敵なお話しありがとうございました。 (2022年8月1日 2時) (レス) @page39 id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 雪海さん» この物語もいよいよ終盤に向かってきてますね…最後までお付き合い下さいませ! (2022年6月26日 11時) (レス) @page27 id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
雪海(プロフ) - うう…切ない (2022年6月26日 10時) (レス) @page27 id: ea036f2a24 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 引きこもり隊さん» プレゼントの渡し方はこれがロマンチックかなって思ってましたっ!!こういう雰囲気いいですよね!!! (2022年6月22日 21時) (レス) @page22 id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜花 | 作成日時:2022年5月28日 19時