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第4話 ページ5

それからも俺は、学校帰り、土日、行けるときは必ず彼女のもとへ行った。

ある日のことだった。

「どうしよ、かたづかない…ココ君もうそろそろ来ちゃうかな…」

部屋はできるだけでいいからお片づけしよう。
ココ君が来てくれる日はすごくワクワクするしソワソワする。なんかへんな感じ。
そうこうしているうちに部屋をノックする音が。

「Aちゃん、いるか?」

「ココ君!」

ガチャッ!と勢いよく開けたもので、ドア近くにあったものが崩れた。

「あっ、せっかく片付けたのに…!」

「片付けしてたのか?偉い偉い。」

「えへへっ。」

「…これは…楽譜?」

「うん!」

「ピアノ?」

「ううん、ヴァイオリン。実はね、幼稚園の時にピアノもやってたんだけど、下手っぴだったからやめちゃった。」

そう、照れくさそうに笑うAちゃん。

「すごいね、ヴァイオリンが上手な女のひとがいるの!はじめて演奏聴いて、すっごく素敵だなって思ったの!だからね、私もそんなヴァイオリニストになりたいの!」

「そっか。」

「うん!」

そう言って彼女は立ち上がり、

「ちょっとまっててね!」

とドタドタと走っていった。
戻ってきて、ピンク色のケースからヴァイオリンを取り出した。

「じゃーん!いいでしょ!おばあちゃんがね、買ってくれたの!新しいものじゃないけど、私の宝もの!」

「いいじゃん。何か弾いてみて。」

「任せて!」

そう言って彼女はまだ覚えたばかりの曲を弾いてくれた。
幼く、身長も低い彼女。
手足は小さくて、拙い指先。
首元には新しい痣。
ヴァイオリニストは楽器に顎を乗せるから、痣ができることがあると、聞いたことがある。

彼女がどれだけ頑張っているのかが分かる。
まるで、あの時の俺みたいだ。
…いや、そんなことを思うのはよそう。

俺と彼女じゃ、やっていることが違いすぎる。
彼女は立派に頑張っているのに、俺がやっていることは…

彼女の拙くも立派な演奏に、俺は泣きそうになった。

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桜花(プロフ) - 月華さん» 読んでいただき本当にありがとうございました!!ココ君の気持ちからしても主人公からしても辛いお話でした。切ないお話は初でしたので沢山考えて頑張りました! (2022年8月1日 5時) (レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 桜花さん» 切なくてそれでも温かいお話でした。夢主ちゃんと結ばれて欲しいような気もしましたがそれではココくんはずっと赤音さんを切れないんだろうなと。素敵なお話しありがとうございました。 (2022年8月1日 2時) (レス) @page39 id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 雪海さん» この物語もいよいよ終盤に向かってきてますね…最後までお付き合い下さいませ! (2022年6月26日 11時) (レス) @page27 id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
雪海(プロフ) - うう…切ない (2022年6月26日 10時) (レス) @page27 id: ea036f2a24 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 引きこもり隊さん» プレゼントの渡し方はこれがロマンチックかなって思ってましたっ!!こういう雰囲気いいですよね!!! (2022年6月22日 21時) (レス) @page22 id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜花 | 作成日時:2022年5月28日 19時

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