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第29話 ページ30

「…!!」

夜。Aは飛び起きた。見ていた夢は、自分が死ぬ夢。
最近、よく見るようになった夢だ。
ドッ、ドッと音を立てて速まる心臓に、汗の染みついたパジャマ。Aは胸をぎゅううっと抑えた。

外を眺めると真っ暗で、まだ夜は明けない。
そんな彼女を照らしてくれるのは月と星だけだった。

…眠りたくない。眠ったら、明日が来ないんじゃないかって不安になる。寝るのがこわい。

時計の針は十二時を指していて、多くの人は眠っているであろう時間であることがわかる。
たぶん、ココ君も…もし話せたら…

そう思ったAは携帯を取り出し、一にかけてみることにした。

すると一は出てくれた。

"Aちゃん?どうした?"

「あっ、ごめんねココ君、まさかホントに出てくれるなんて…」

"ちょうど起きてたからいいよ。で、どうしたんだ?"

「笑わない?」

"ああ。笑わねーよ?"

「…自分が死ぬ夢みた。このまま明日が来ないんじゃないかって、怖くなった…。」

"そんな夢見たのか…俺もガキん時同じよーな夢見たっけな。懐かしー。"

「ココ君も?」

"ああ。そーゆー夢見るときは誰にでもあるもんさ。"

「そっか…」

少しだけ続く沈黙の時間。でもそれがなぜだか心地いい。何だかホッとする。

"そういえば…さ。"

「なに?」

"俺、イヌピーと決別することにした。"

「けつべつ…?」

"別れるってこと。でもAちゃんのことが気掛かりだったから、ほんの少しだけ待ってもらってる。でも、本当にあと少ししか一緒に居られねぇ。"

「…そう、なんだ……ねぇ、ココ君。あさって、会えない?」

"明後日…?いけると思うけど。"

「じゃあその日、会おう。病院の屋上で。」

"ああ。"

「その時に、話したいことがいっぱいあるの。聞きたいこともね。」

"じゃあその時ちゃんと話そう。"

「約束だよ?」

"ああ。約束する。"

*****
翌日、Aは大好きな姉が眠る場所へと、兄と向かった。

自分で何度もやり直した白い薔薇の花束をそこへ飾る。

「お姉ちゃん、明日は楽しみにしててね。」

それはAが好きな人へ贈る、たったひとつの決意。

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桜花(プロフ) - 月華さん» 読んでいただき本当にありがとうございました!!ココ君の気持ちからしても主人公からしても辛いお話でした。切ないお話は初でしたので沢山考えて頑張りました! (2022年8月1日 5時) (レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 桜花さん» 切なくてそれでも温かいお話でした。夢主ちゃんと結ばれて欲しいような気もしましたがそれではココくんはずっと赤音さんを切れないんだろうなと。素敵なお話しありがとうございました。 (2022年8月1日 2時) (レス) @page39 id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 雪海さん» この物語もいよいよ終盤に向かってきてますね…最後までお付き合い下さいませ! (2022年6月26日 11時) (レス) @page27 id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
雪海(プロフ) - うう…切ない (2022年6月26日 10時) (レス) @page27 id: ea036f2a24 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 引きこもり隊さん» プレゼントの渡し方はこれがロマンチックかなって思ってましたっ!!こういう雰囲気いいですよね!!! (2022年6月22日 21時) (レス) @page22 id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜花 | 作成日時:2022年5月28日 19時

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