第二十一訓 ページ22
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バキッ───
携帯は浪士によって無残にも踏み潰された。
「こいつ真選組と連絡を!」
「どうやら仕置きが必要らしい」
ニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべながらジリジリと距離をつめてくる浪士。
「こっち来んなあっち行け!」
「威勢がいいな、強気な女は嫌いじゃないが騒がれちゃ迷惑だ」
「ぐ.......っ」
浪士は噛ませるようにしてAの頭に布を巻く。
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プープープ────……
土方にAの声が届くことはなかった。
しばらく携帯を見つめる土方。
「土方さん、Aのヤロー見かけやせんでしたかィ?パシリに出したきり戻ってきやしねぇ」
「総悟お前、一緒じゃねーのか.......」
携帯を握りしめ真剣な面持ちの土方を見て沖田も何かを感じ取る。
「……あいつに何か、あったんですか」
そんな二人の元に山崎が息を切らせて転がり込んできた。
「大変です!Aちゃんが……!」
───────────────────
足をバタバタさせてAはとにかく暴れた。
「そんなに暴れるなって、俺たち本当は優しいんだぜ?」
それも浪士からしてみたら無駄なあがき。
ガシッ
簡単に足を掴まれ、とうとう身動きがとれなくなる。
刀を持たない自分がこんなに無力だなんて……
「見ろよこの白い脚」
「おとなしくしてればいい思いさせてやるから」
官能的な撫で方……
男はそのまま首に顔をうずめる。
Aは覚悟を決めてぎゅっと目をつむった。
助けて.......誰か!!
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作者名:百瀬 | 作成日時:2020年7月11日 0時