第十八訓 ページ19
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「ありがとうございました―!!!」
ウィーンと開く自動ドアから出てきたAの手にはジャンプと焼きそばパンの入ったスーパー袋。
何とか真選組に入ったものの、パシリとしてこき使われる日々。
このままでいいものかとブランコに揺られながらぼーっと空を眺めていれば、生意気な子供に絡まれる。
「てめー見ねぇ顔だな、どこのモンだ?」
「この辺の公園はなァかぶき町の帝王よっちゃんの縄張りなんだよ!」
「ここで遊びたきゃドッキリマンチョコのシール3枚上納しろ!!」
最近のガキは.......
思わず深い溜め息がもれる。
「おい聞いてんのか糞ババア!」
その時、Aの中の何かが音をたてて切れた。
「誰がババアだ糞ガキイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!」
「うわ────!!糞婆が鬼婆になったぞ逃げろっ!!」
逃げていく子供たちの背中をAは中指を立てて見送った。
「大人気ないアル」
日よけの傘をさし、汚いものでも見るかのような目でこちらを見ているチャイナ娘。
「 …… 」
「 …… 」
帰り道、口止め料として酢昆布を買い与える。
「ワタシこんな酢昆布一個で釣られるほど安い女じゃないネ」
口ではそう言いつつ明らかに喜んでいる神楽ちゃんを見て私はホッと胸を撫で下ろした。
「ふふ、可愛い(単純で)」
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作者名:百瀬 | 作成日時:2020年7月11日 0時