第十五訓 ページ16
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「お姉さんいい年して弱い者いじめとかカッコ悪いネ」
地面に叩きつけられながら軽く2メートル程吹っ飛ばされる体。
鼻が折れた事で鮮血がゴボゴボと溢れ出て、黒いマスクをしているかのように血に濡れてドロドロだ。
「お、覚えてろよ───!!!」
あきらかに悪人のセリフを吐いて逃げていく男たち。
「アレ?」
「こ〜む〜す〜め〜」
ゆらりと立ち上がり少女の肩をガシリと掴んで離さない。
「な〜にが弱いものいじめだ、先に絡んできたのはあっちなんだよ!」
「まじかヨ間違えちゃった」
「間違えちゃったじゃねーわ!」
「だって見るからにお姉さんの独断場だったアル」
「どーしてくれんのよ血ィとまんないでしょーが!」
「蛇口みたいネ」
ヘンテコな語尾に赤いチャイナ服、傘をさす少女の肌は雪のように白い。
夜兎族.......
あの蹴りの威力も夜兎族なら合点がいく。
見たところ10代前半の女の子。
「ワタシの蹴り食らって無傷な人滅多いないネ」
「いや鼻折れてるからねよく見て」
「お姉さんとは仲良くやっていける気がするアル!」
「聞いてる?人の話聞いてる?」
ガブッ……
いきなり何かが突き刺さるような痛みに襲われ、視界から光が失われる。
「コラ定春!なんでもかんでも口に入れちゃダメアル!ばっちいヨ!」
定春の口内から解放されると出血多量の貧血で視界がほぼ真っ白に見えた。
「ワタシ神楽言うネ!お姉さんも名乗るヨロシ!」
「……私はA」
そこで意識を手放した。
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作者名:百瀬 | 作成日時:2020年7月11日 0時