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さすがに恥ずかしくって、このまま彼から目を逸らしてしまいたくなる。
バクバク、私の心臓はありえないほど大きな音を刻んでいた。
「……ソウデスカ」
ぱちり、不意を突かれたように瞳を瞬いた黒尾さん。
それからすぐに、バッと音が鳴りそうな勢いで顔を背けた。
「えっ黒尾さん?」
驚いて思わず呼びかけると、彼は左手で自分の顔を覆いながら、ぶんぶん首を横に振る。
「何でもない。なんでもないから、見ないで」
──お風呂上がりで火照っている、なんてレベルじゃない。
ぶわ、黒尾さんの顔が一気に赤く色づくのが、ハッキリと見えてしまった。
思っていた以上に動揺させてしまったようで、……そんな彼の反応に、私は思わず小さく笑う。
たまに子どもっぽいところもある黒尾さんだけど、──こんなに彼を幼いと思ったのは、初めてだった。
「ふふ」
「笑わないでクダサイ……」
指の隙間から、じっとり潤んだ瞳がこちらを覗いてくる。
さっきまで私が揶揄われてあたふたしていたというのに、今度はまるで逆だ。
好きな女の子をいじめたくなる男の子の気持ち、今ならわかる気がする。
まあでも私はとんでもないドSというわけでもないので、とりあえず黒尾さんが落ち着くのを待つことにした。
しばらくして顔の熱が収まったのか、彼がゆるゆる左手を外す。
落ち着きました?と笑いながら聞くと、うん、と拗ねたように頷かれた。……ほんとに子どもみたい。かわいい。
──朝木兎さんに会って以降、黒尾さんとは少しだけ気まずかったから、……こうやって普通に話せていることが嬉しかった。
「……あの、朝、すみませんでした」
……今なら言えるかな。そう思いながら、小さく呟く。
黒尾さんが、私の言葉に驚いたように目を見開いた。
「え、何かあったっけ」
「その、……私が木兎さんのファンだって話」
「あー……いやいや待て、何でAが謝るんだよ」
「だって私、音駒のマネだから……。音駒のマネなのに、梟谷のエースのファンだなんて言っちゃってごめんなさい」
──嫌な気持ちにさせました。
そう言いながら、私はぺこりと頭を下げる。
そのままゆっくり顔を上げると、何とも言えない
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暁☆(プロフ) - 黒尾ファンさん» ありがとうございます、頑張ります🙇♀️ (4月15日 8時) (レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - お手伝いは、聞いてない〜⁉ヤバこれは、現実でもキュンってするところ。うわぁもうヤバいしか言えないこれからも頑張ってください (4月13日 7時) (レス) @page25 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - yuuuさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいです🥰 (4月11日 23時) (レス) id: f35ddf974d (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - 黒尾ファンさん» 嬉しいコメントありがとうございます!頑張りますね💪 (4月11日 23時) (レス) id: f35ddf974d (このIDを非表示/違反報告)
yuuu(プロフ) - ドキドキ、きゅんきゅんでした💖だいすきです♡ (4月11日 19時) (レス) @page24 id: 6410d877bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁☆ | 作成日時:2024年3月20日 1時