【HQ】こっち、向けよ。2【黒尾鉄朗】

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扉のところに立って体育館を見渡しているのは、綺麗な金髪のお姉さん。

──それからその後ろにいる、2人の男の子。

背の高い黒髪の男の子と、鮮やかなオレンジ色の髪が印象的な男の子だ。



「……主役は遅れて登場ってか？腹立つわー」


楽しそうな黒尾さんの声に、──烏野の遅れてきた1年生か、とピンとくる。

音駒(うち)のメンバーが途端にワクワクしたような表情になるのに対し、他校のメンバーは揃って不思議そうな表情をしていた。


「あの2人が、めちゃくちゃ速い速攻やる1年だよ」


シューズを履き替える黒髪くんとオレンジくんを眺めていると、気を利かせた芝山くんが教えてくれる。


「研磨さんが面白かったって言ってた子？」

「うん。あっちのオレンジの……ミドルブロッカーなんだけど、すごい跳ぶんだ」

「ミドルブロッカー！？」


予想外のその情報に、思わず大きな声が出てしまった。

慌てて口を押さえて、そっと辺りの様子を窺う私。

……よかった、誰も気にしてないみたい。


「え、ミドルブロッカーって……百歩譲ってウイングスパイカーなのでは……？」


再開された音駒と梟谷の試合を見ながら、少し声を落として芝山くんと会話を続ける。


……正直パッと見で、リベロかなぁなんて思ってしまっていた。

だってあのオレンジくん、……横にいる黒髪くんが大きいことを差し引いたって背が低い。


まあでもジャンプ力があるというのなら、スパイカーとして活躍することもできなくはないのだろう。

……でも、それにしたってミドルブロッカーは。

ウイングスパイカーだったらまだわかるけど……だってブロッカーは、高さが命なポジションだ。


音駒(うち)でもミドルブロッカーは、リエーフくんに犬岡くん、黒尾さんといった長身の3人。

……あ、でも速い速攻があるなら、その速攻が使いやすいようにってことなのかな。


もしかしたら、移動攻撃(ブロード)が得意だったりするのかもしれない。

ブロッカーというよりは、機動力重視のスパイカーとして入れられているのかも。


……うーん、あとは囮とか？

ミドルブロッカーって囮でもブロックでもとにかく跳びまくるから、体力がある子なのかな。


「……たぶん、見ればわかるよ」


小さく笑いながら言う芝山くんに、すっかり萎んでいた烏野への期待が、むくむくと膨れ上がった。




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