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赤葦さんも木兎さんのファンなはずなのに、……相変わらずの辛辣さだ。
うっせーなぁ、と拗ねたように口を尖らせる木兎さんに、私は思わず笑ってしまう。
これじゃあどっちが年上なのかわからない。
「……じゃ、2枚でどうだ?」
そろそろリエーフくんに水分補給促そうかな、と私がコートから目を背けたところで、隣にいた黒尾さんが1歩踏み出した。
そのまま木兎さんに向かって、余裕たっぷり勝気な笑みを浮かべる。
──私には向けられることのない、そんな種類の表情だ。
木兎さんという同い年の、
……かっこいいなぁ、なんて、単純な私の心臓はとくりと温かい音を刻んだ。
「2枚上等!」
黒尾さんの言葉に、木兎さんが元気に答える。
そのまますぐに赤葦さんにボールを出して、スムーズに助走体勢に入った。
「……眼鏡くんはストレートをきっちり締めとけよ」
クロス側に立った黒尾さんが、ストレートの位置に立つ月島くんに静かに言う。
キュキュ、シューズが床を擦る音が響いて、木兎さんがトスに合わせて高く跳んだ。
──ぐっと大きく反る背中。
インナーだ、私がそう思うより先に、黒尾さんの両手が空いていたクロス側を素早く締める。
木兎さんの力強いインナースパイクは、そのまま黒尾さんのブロックにしっかりと叩き落とされた。
「うぇーい」
「くっそぉー!」
──わざと空けてたんだ、と咄嗟に理解する。
黒尾さん今、 わざとクロスを空けてブロックに跳んで、木兎さんが打つタイミングに合わせてクロスを閉じた。
「……っかっこいい……」
ネット越しに木兎さんを煽る黒尾さんを見ながら、小さく小さく呟く私。
今のブロック1本跳ぶのに、彼は一体どれくらいの思考を重ねたんだろう。
「やっぱ眼鏡くんさぁ、読みはいーんだけど……こう……弱々しいんだよな、ブロックが!」
私が黒尾さんのかっこよさに惚れ惚れしていたところで、腕を組んだ木兎さんが声をあげた。
「腕とかポッキリ折れそうで心配になる。ガッと止めないと、ガッと!」
……うん、きっと木兎さんに悪気は無い。
けどその雑で感覚的なアドバイスは、月島くんには逆効果なんじゃないだろうか。
だってたぶん彼、感覚より言葉とか理論で理解するタイプの人だ。
案の定月島くんは、木兎さんの言葉を思いっきり眉を顰めながら聞いていた。
……意外と表情に出るんだなぁ。
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暁☆(プロフ) - 黒尾ファンさん» ありがとうございます、頑張ります🙇♀️ (4月15日 8時) (レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - お手伝いは、聞いてない〜⁉ヤバこれは、現実でもキュンってするところ。うわぁもうヤバいしか言えないこれからも頑張ってください (4月13日 7時) (レス) @page25 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - yuuuさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいです🥰 (4月11日 23時) (レス) id: f35ddf974d (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - 黒尾ファンさん» 嬉しいコメントありがとうございます!頑張りますね💪 (4月11日 23時) (レス) id: f35ddf974d (このIDを非表示/違反報告)
yuuu(プロフ) - ドキドキ、きゅんきゅんでした💖だいすきです♡ (4月11日 19時) (レス) @page24 id: 6410d877bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁☆ | 作成日時:2024年3月20日 1時