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「もう1本!」
何度も何度も飽きることなく、美しいフォームでえげつないスパイクを放つ木兎さん。
そんな彼に求められるまま、従順にトスを上げ続ける赤葦さん。
それから少しずつ、木兎さんのスパイクコースに入れるようになってきた月島くん。
リエーフくんのレシーブ記録を取り続けながら、私はそんな3人の様子をじっくり目に焼き付けていた。
「……木兎のやつ、調子いいな」
こってり絞られて動かなくなったリエーフくんを放置して、黒尾さんが私の隣にやって来る。
「ですね。……レシーブ練はもう終わりですか?」
「んー、もうちょいやりてえな。ただリエーフが死んだから、一旦休憩ってことで」
私の質問に答えながらも、彼の視線はじっとコートの中に注がれていた。
私みたいに、ただただ「かっこいい」とプレーに見惚れている視線ではない。
──静かに、相手の能力を分析しているような視線。
「……思ってたよりいいかんじだな、眼鏡くん」
どうやら黒尾さんがその視線を向けているのは、木兎さんでも赤葦さんでもなく、月島くんらしい。
呟くように零した彼に、私はこくりと頷いてみせた。
「はい。最初はコースにも入れてなかったのに、少しずつ合ってきてます」
よく見て、考えて、冷静に動くことができる選手。
そんな月島くんの姿勢は、……どことなく黒尾さんと似ているような気もする。
黒尾さんもどちらかと言うと、よく見て考えて、冷静に動くタイプの選手だから。
「……ストレート抜かれる」
ふわりと上がったトスに木兎さんが跳んだのを見て、黒尾さんが小さく呟いた。
言われて見てみると、確かに
──と、次の瞬間。
月島くんがコースを読んだかのように、その空いていたストレートをしっかりと塞いだ。
「わ」
抜けない、と咄嗟に思ったけれど、木兎さんがコースを打ち変えるような様子はない。
そのまま塞がれたストレートに力強いスパイクを打ち込んで──……、月島くんの1枚ブロックを、簡単に弾き飛ばした。
……どうしよう、めちゃくちゃかっこいい。
「っしゃー!」
綺麗に着地をした木兎さんが、子どもみたいに笑って両手でガッツポーズする。
そんな彼を見て、赤葦さんが「1枚ブロックに勝っただけっすよ」と冷静に突っ込んだ。
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暁☆(プロフ) - 黒尾ファンさん» ありがとうございます、頑張ります🙇♀️ (4月15日 8時) (レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - お手伝いは、聞いてない〜⁉ヤバこれは、現実でもキュンってするところ。うわぁもうヤバいしか言えないこれからも頑張ってください (4月13日 7時) (レス) @page25 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - yuuuさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいです🥰 (4月11日 23時) (レス) id: f35ddf974d (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - 黒尾ファンさん» 嬉しいコメントありがとうございます!頑張りますね💪 (4月11日 23時) (レス) id: f35ddf974d (このIDを非表示/違反報告)
yuuu(プロフ) - ドキドキ、きゅんきゅんでした💖だいすきです♡ (4月11日 19時) (レス) @page24 id: 6410d877bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁☆ | 作成日時:2024年3月20日 1時