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月島くんって自主練とかするタイプに見えないよなぁ、なんてぼんやり考えていたら、突然黒尾さんと木兎さんの声が「なに!?」とハモった。
え、なになに。
遠すぎて月島くんの声は聞こえないけれど、一体どんなやりとりしてるの。
「ブロックなしでスパイク練習しても意味ないんだよー。頼むよ!」
気になって私が立ち上がった瞬間に、木兎さんが懇願するような声をあげる。
……もしかして、断られたのかな。
「何で僕なんですか。梟谷の人は」
そのまま好奇心に任せて扉の方まで寄っていくと、聞き慣れない低い声が聞こえてきた。
月島くんの声かな。
「木兎さんのスパイク練、際限ないからみんな早々に逃げるんだよ」
立ち止まった私の横をすり抜けた赤葦さんが、淡々と月島くんの声に答える。
「俺はコイツ鍛えるのに忙しいんだよねぇ」
次いで黒尾さんが、床に伸びていたリエーフくんを親指でさした。
「だから、俺がブロック跳びますってばぁ!」
「うるせえ!音駒でレギュラー入ってたかったら、まずそれなりのレシーブ力つけろ!」
黒尾さんの正論パンチに、リエーフくん撃沈。
うぐぅ、と変な唸り声をあげて、ガックリ項垂れてしまう。
……可哀想だけど、本当に黒尾さんの言う通りだから仕方がない。
もちろんスパイクもブロックも全部できるようになってほしいけれど、まずはレシーブからだ。
「見えないかもしんないけど、コイツ全国で5本の指に入るくらいのスパイカーだから。練習になると思うよ」
リエーフくんに向けていた親指を引っ込めて、今度は木兎さんを指さす黒尾さん。
わかりやすく褒められた木兎さんが、ふふん、と得意げに笑った。
だけど後ろにいた赤葦さんが、静かに一言。
「3本の指にはギリギリ入らないですかね」
「ドンマイ」
「落とすくらいなら上げないでクダサイ!」
赤葦さんの言葉に悪ノリした黒尾さんが、ぽんと木兎さんの背中を叩く。
木兎さんがそれに噛み付くまでがセットで、……仲が良いなぁ、と私はこっそり口角を上げた。
……と、次の瞬間。
「それに君、ミドルブロッカーなら、もう少しブロックの練習した方がいいんじゃない?」
黒尾さんがニヤリ、意地悪な笑みを浮かべてそんなことを言う。
──わかりやすすぎるその挑発に、ヒヤリとしたのも一瞬。
ずっと外に立ったままだった月島くんが、無言で体育館の中へと入ってきた。
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暁☆(プロフ) - 黒尾ファンさん» ありがとうございます、頑張ります🙇♀️ (4月15日 8時) (レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - お手伝いは、聞いてない〜⁉ヤバこれは、現実でもキュンってするところ。うわぁもうヤバいしか言えないこれからも頑張ってください (4月13日 7時) (レス) @page25 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - yuuuさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいです🥰 (4月11日 23時) (レス) id: f35ddf974d (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - 黒尾ファンさん» 嬉しいコメントありがとうございます!頑張りますね💪 (4月11日 23時) (レス) id: f35ddf974d (このIDを非表示/違反報告)
yuuu(プロフ) - ドキドキ、きゅんきゅんでした💖だいすきです♡ (4月11日 19時) (レス) @page24 id: 6410d877bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁☆ | 作成日時:2024年3月20日 1時