第3体育館 1 ページ25
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──2週間という時間は瞬く間に流れ、今日から再び始まった、梟谷グループの合宿。
前回と参加校は変わらず、違うのは期間と会場くらい。
というのも、前は土日の2日間だけという日程だったけれど、今回はなんてったって夏休み中。
1週間丸々、6日間という長い遠征だ。
会場の方は、前回は梟谷だったのが今回は森然に変わっている。
周りを緑に囲まれていて、良く言えば自然豊か、……悪く言えば田舎くさい場所。
まあ自然が多い分、他の高校に比べたらすこーしだけ涼しく感じるのかもしれない。本当に少しだけ、だけど。
「木兎さん!」
不意に耳に入った赤葦さんの声に、私は思わず、カバンからボトルを取り出していた手を止めた。
間もなくキュキュ、とシューズが床を擦る音がしたから、咄嗟にコートの方に目を向ける。
ちょうど木兎さんが跳ぶ瞬間を見られて、──その相変わらずの美しいフォームに、私はこっそり息を呑んだ。
だあん、強い音を体育館に響かせながら、木兎さんが打ち下ろしたボールがコートに叩きつけられる。
ナイスキー、と梟谷のコートから口々に声が聞こえてきた。
……やっぱりかっこいいなぁ。木兎さんのバレーは、いつ見ても気持ちが良い。
惹き込まれるって言うか、目が離せなくなると言うか。
パワーはもちろんだけど、オーラ?存在感?そういうのがとにかく強くって、まるでコートの真ん中でキラキラ光っているような。
──スター、という言葉が本当によく似合うひとだ。
「お嬢さん、手が止まってますヨ」
「っわ、」
突然降ってきたその声に、ビクリと小さく肩が跳ねる。
慌てて顔を上げると、そこには呆れた
そのまま私の隣にしゃがんで、当たり前のようにボトルを出す作業を手伝ってくれる。
「黒尾さん。森然と生川の試合は?」
「やっくんと犬岡が得点やってくれてるし、芝山が記録取ってるからへーき。梟谷の方も海いるから問題ないだろ」
合宿開始1セット目は、梟谷vs烏野と、森然vs生川という組み合わせ。
「俺はAの手伝いデス。長期合宿ってマネの仕事多くなるし、手伝えるときは手伝うから」
遠慮なく頼ってね、と優しく笑う黒尾さん。
相変わらずの彼の細やかな気遣いに、キュン、単純な私の心臓が鳴き声をあげた。
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暁☆(プロフ) - 黒尾ファンさん» ありがとうございます、頑張ります🙇♀️ (4月15日 8時) (レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - お手伝いは、聞いてない〜⁉ヤバこれは、現実でもキュンってするところ。うわぁもうヤバいしか言えないこれからも頑張ってください (4月13日 7時) (レス) @page25 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - yuuuさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいです🥰 (4月11日 23時) (レス) id: f35ddf974d (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - 黒尾ファンさん» 嬉しいコメントありがとうございます!頑張りますね💪 (4月11日 23時) (レス) id: f35ddf974d (このIDを非表示/違反報告)
yuuu(プロフ) - ドキドキ、きゅんきゅんでした💖だいすきです♡ (4月11日 19時) (レス) @page24 id: 6410d877bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁☆ | 作成日時:2024年3月20日 1時