検索窓
今日:64 hit、昨日:433 hit、合計:59,433 hit

9 ページ24





電話越しに黒尾さんから使っている香りの名前を聞けて、とりあえず私はひと満足。

どうやらフローズンミント、という香りらしい。ひんやりしてそうな名前だ。


「黒尾さん、あーゆう香りが好きなんですか?」

『んや、特にこだわりあるわけじゃないけど』


確かに爽やかで涼しげな香りだったなぁ、と思いを馳せながら聞いてみる。

だけど黒尾さんは、そういうわけではないとゆったり否定してきた。


『つーか、むしろAがこの香り好きなんじゃねえの』

「あ、それはそうです!」


私の元気な返事に、ふは、耳元から静かな笑い声が聞こえてくる。

そのほとんど吐息でできた音に、私の頬は一瞬で熱くなった。


──これ、ずるい。

だってなんて言うか、色気がすごいんだもん。
包み隠さず言ってしまえば、……えろいってやつだ。


『……じゃあ、しばらくはコレ使い続けないとな』


私が笑い声にドキドキしていることなんて露知らず、黒尾さんが柔らかな声でそっと囁く。


……え、それって、どういうこと?


黒尾さん、さっき香りにこだわりはないって言ってたよね。

だから別にフローズンミントのシーブリーズを使い続ける理由はないはずで、……あれ、今黒尾さん、「じゃあ」って言った?


──自惚れても、いいのかな。

その言い方、……私が好きな香りだから使い続けたいって、そう言われているように感じちゃいますよ。



「く、黒尾さんは、どんな香りが好きとかあるんですか」


──最近の黒尾さんは、思わせぶりな態度ばかりだ。

そんなふうに思いながら、そっと話を振ってみる。


『んー。あんま考えたことねえけど、……Aの匂いは好きだよ』

「っそ、うですか」


……天然なのか、計算なのか。

黒尾さんから返ってくるのは、やっぱりこちらが勘違いしてしまいたくなるような、思わせぶりな言葉。

思わず声が詰まって、私はドキドキしながら小さく返した。



──ねえ黒尾さん。


どうして今日、電話に誘ってくれたんですか?

シーブリーズの香りなんて、メールで教えてくれれば良かったのに。


木兎さんに嫉妬したり、俺のこと好き?なんて聞いてきたり。

距離の近さには子どもみたいに照れて、……かと思ったら私の匂いが好きだと平然と伝えてきて。


私単純だから、期待しちゃいますよ。


──黒尾さんは、私と同じ気持ちなんですか?



第3体育館 1→←8



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (202 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1185人がお気に入り
設定タグ:ハイキュー!! , 黒尾鉄朗   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

暁☆(プロフ) - 黒尾ファンさん» ありがとうございます、頑張ります🙇‍♀️ (4月15日 8時) (レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - お手伝いは、聞いてない〜⁉ヤバこれは、現実でもキュンってするところ。うわぁもうヤバいしか言えないこれからも頑張ってください (4月13日 7時) (レス) @page25 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - yuuuさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいです🥰 (4月11日 23時) (レス) id: f35ddf974d (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - 黒尾ファンさん» 嬉しいコメントありがとうございます!頑張りますね💪 (4月11日 23時) (レス) id: f35ddf974d (このIDを非表示/違反報告)
yuuu(プロフ) - ドキドキ、きゅんきゅんでした💖だいすきです♡ (4月11日 19時) (レス) @page24 id: 6410d877bf (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:暁☆ | 作成日時:2024年3月20日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。