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電話越しに黒尾さんから使っている香りの名前を聞けて、とりあえず私はひと満足。
どうやらフローズンミント、という香りらしい。ひんやりしてそうな名前だ。
「黒尾さん、あーゆう香りが好きなんですか?」
『んや、特にこだわりあるわけじゃないけど』
確かに爽やかで涼しげな香りだったなぁ、と思いを馳せながら聞いてみる。
だけど黒尾さんは、そういうわけではないとゆったり否定してきた。
『つーか、むしろAがこの香り好きなんじゃねえの』
「あ、それはそうです!」
私の元気な返事に、ふは、耳元から静かな笑い声が聞こえてくる。
そのほとんど吐息でできた音に、私の頬は一瞬で熱くなった。
──これ、ずるい。
だってなんて言うか、色気がすごいんだもん。
包み隠さず言ってしまえば、……えろいってやつだ。
『……じゃあ、しばらくはコレ使い続けないとな』
私が笑い声にドキドキしていることなんて露知らず、黒尾さんが柔らかな声でそっと囁く。
……え、それって、どういうこと?
黒尾さん、さっき香りにこだわりはないって言ってたよね。
だから別にフローズンミントのシーブリーズを使い続ける理由はないはずで、……あれ、今黒尾さん、「じゃあ」って言った?
──自惚れても、いいのかな。
その言い方、……私が好きな香りだから使い続けたいって、そう言われているように感じちゃいますよ。
「く、黒尾さんは、どんな香りが好きとかあるんですか」
──最近の黒尾さんは、思わせぶりな態度ばかりだ。
そんなふうに思いながら、そっと話を振ってみる。
『んー。あんま考えたことねえけど、……Aの匂いは好きだよ』
「っそ、うですか」
……天然なのか、計算なのか。
黒尾さんから返ってくるのは、やっぱりこちらが勘違いしてしまいたくなるような、思わせぶりな言葉。
思わず声が詰まって、私はドキドキしながら小さく返した。
──ねえ黒尾さん。
どうして今日、電話に誘ってくれたんですか?
シーブリーズの香りなんて、メールで教えてくれれば良かったのに。
木兎さんに嫉妬したり、俺のこと好き?なんて聞いてきたり。
距離の近さには子どもみたいに照れて、……かと思ったら私の匂いが好きだと平然と伝えてきて。
私単純だから、期待しちゃいますよ。
──黒尾さんは、私と同じ気持ちなんですか?
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暁☆(プロフ) - 黒尾ファンさん» ありがとうございます、頑張ります🙇♀️ (4月15日 8時) (レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - お手伝いは、聞いてない〜⁉ヤバこれは、現実でもキュンってするところ。うわぁもうヤバいしか言えないこれからも頑張ってください (4月13日 7時) (レス) @page25 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - yuuuさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいです🥰 (4月11日 23時) (レス) id: f35ddf974d (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - 黒尾ファンさん» 嬉しいコメントありがとうございます!頑張りますね💪 (4月11日 23時) (レス) id: f35ddf974d (このIDを非表示/違反報告)
yuuu(プロフ) - ドキドキ、きゅんきゅんでした💖だいすきです♡ (4月11日 19時) (レス) @page24 id: 6410d877bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁☆ | 作成日時:2024年3月20日 1時