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「な、なにそれ、Aちゃんコイツのこと知ってたの?」
よっぽど驚いたのか、若干震える声でそう聞いてくる黒尾さん。
私はもちろん、迷わずこくりと頷いた。
「中2のとき、初めて春高で木兎さんを見て。それからずっとファンなんです!」
ぱちぱち、私の言葉を聞いた木兎さんが大きな瞳を瞬き、それからパッと笑顔になる。
キラキラ、見ているこっちまで気持ち良くなるような笑顔だ。
「ファンとか、そんなこと言われんの初めて!嬉しい!」
ありがとう!と元気にお礼を言ってくれる木兎さん。
素直なその言葉に、私までつられて嬉しくなった。
「合宿で木兎さんのバレー見れるの、ほんとに楽しみにしてたんです。2日間よろしくお願いします!」
もう一度ぺこりと頭を下げると、木兎さんはこちらこそ!と元気な声で返してくれる。
今までは遠くからバレーしているところを見るだけだったけど、……なんというか、想像通りの人柄だ。
太陽みたいに強く輝いて、周りをギラギラ照らすひと。
「……Aちゃんが木兎のファンなんて、聞いたことなかったんだけど」
私と木兎さんのやりとりを黙って見ていた黒尾さんが、不意に小さく呟いた。
チラリと彼に目を向けると、……初めて見るような、少し強ばった
「えっ、と……聞かれたことなかったし、わざわざ自分から言うことでもないかな、って」
何かいけなかっただろうか。そう考えながら答えて、ハッとした。
今の私は音駒のマネージャーで、梟谷の木兎さんは所謂"敵"だ。
マネージャーが敵のファンとか……音駒の主将である黒尾さんが、良い気持ちになるわけがない。
サッと背筋が冷える。
「っあ、や、でも、木兎さんは好きだけど、私は音駒のマネージャーなので!」
──黒尾さんを、嫌な気持ちにさせてしまった。
「えっと、その、私が応援するのは音駒だし、音駒のバレーだって大好きです。梟谷に負けるつもりもありません!」
どうしようどうしよう、と大慌てで弁解する私。
──木兎さんのバレーはもちろん、大好きだ。
音駒に入った今もそれは変わらないし、彼のバレーをずっと見ていたいとも思う。
だけど私の仲間は音駒の皆で、このチームが私はとってもとっても好きだから。
皆で勝ちたいし、皆で全国に行きたい。
私がマネージャーとして支えたいと思うのは、木兎さんではなく音駒の皆だ。
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暁☆(プロフ) - 黒尾ファンさん» ありがとうございます、頑張ります🙇♀️ (4月15日 8時) (レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - お手伝いは、聞いてない〜⁉ヤバこれは、現実でもキュンってするところ。うわぁもうヤバいしか言えないこれからも頑張ってください (4月13日 7時) (レス) @page25 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - yuuuさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいです🥰 (4月11日 23時) (レス) id: f35ddf974d (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - 黒尾ファンさん» 嬉しいコメントありがとうございます!頑張りますね💪 (4月11日 23時) (レス) id: f35ddf974d (このIDを非表示/違反報告)
yuuu(プロフ) - ドキドキ、きゅんきゅんでした💖だいすきです♡ (4月11日 19時) (レス) @page24 id: 6410d877bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁☆ | 作成日時:2024年3月20日 1時