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「……っごめん。潰してない？」
「だ、大丈夫、です」
ばくばく、黒尾さんに聞こえてしまうのではと不安になるほど大きく響く、心臓の音。
答える声が震えて、……自分の頬が、信じられないほど熱を帯びているのがわかった。
「……大変申し訳ないんですケド、全然押し返せねえ。ちょっと、次の駅まで我慢してくんない？」
黒尾さんの低い声が、頭の真上から聞こえてくる。
いったい自分たちがどんな体勢になっているのか、恥ずかしすぎて考えることもできなかった。
「っはい」
少しでも頭を動かしたら彼の胸に顔を突っ込んでしまうような、そんな距離。
さっきまでも黒尾さんのシャツに触れそうだって焦っていたけれど、……まさかこんな、ゼロ距離になるなんて。
顔を上げることも頷くこともできないまま、相変わらず震える声で返事をする。
身長差のおかげで絶対に彼に顔を見られないことが、今の唯一の救いだった。
──次の駅までの時間が永遠にも感じられた中、不意にふわりと爽やかな香りが鼻につく。
黒尾さんのシーブリーズだ、とすぐにわかって、とにかく緊張を紛らわしたかった私は、勢いでそっと口を開いた。
「シーブリーズ、いい匂いです。何使ってるんですか？」
爽やかさの中にほのかな甘さも含まれている、そんな素敵な香りだ。
私は無難にせっけんのやつを使っているけれど、それとは少し違う気がする。
「え、Aサンったら匂いなんか嗅いでたの。えっちー」
「っち、ちがいます！嗅がなくても香ってくるんですっ」
「ふは、慌てすぎ。汗かいてっからあんま嗅がないでネ」
「だから嗅いでないです！」
頭上から降ってきた、揶揄い混じりの黒尾さんの声。
私が慌てて否定するのに、ますます楽しそうな声を返してくる。
「んー、何だったかなぁ。なんか青いやつ」
「青なんていっぱいあるじゃないですか……」
しかも私が1番知りたかった答えは曖昧。
もう、と若干拗ね気味に呟いたところで、ちょうど電車が駅に到着した。
この駅で開くのは反対側の扉だから、私は扉にもたれかかったまま。
後ろに少し余裕ができたのか、黒尾さんが扉についていた右手をゆっくり離した。
赤いネクタイが離れていって、ようやく解放された私はホッと顔を上げる。
──声は、いつも通り余裕たっぷりだったのに。
見上げた黒尾さんの頬が赤く染まっていて、……その予想外の彼の表情に、私の心臓はまたドキリと音をたてた。
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暁☆(プロフ) - 黒尾ファンさん» ありがとうございます、頑張ります🙇♀️ (4月15日 8時) (
レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - お手伝いは、聞いてない〜⁉ヤバこれは、現実でもキュンってするところ。うわぁもうヤバいしか言えないこれからも頑張ってください (4月13日 7時) (レス) @page25 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - yuuuさん» コメントありがとうございます！とっても嬉しいです🥰 (4月11日 23時) (レス) id: f35ddf974d (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - 黒尾ファンさん» 嬉しいコメントありがとうございます！頑張りますね💪 (4月11日 23時) (レス) id: f35ddf974d (このIDを非表示/違反報告)
yuuu(プロフ) - ドキドキ、きゅんきゅんでした💖だいすきです♡ (4月11日 19時) (レス) @page24 id: 6410d877bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：暁☆ | 作成日時：2024年3月20日 1時
