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──私の忠告が効いたのか、単純に練習に付き合っていたのが海さんではなく夜久さんだったからか。
今日の黒尾さんが「あと1回」とごねることはなく、居残りサーブ練はきっかり30本で幕を閉じた。
3人で残っていたんだから3人で帰るかと思ったけれど、一緒にいたのは私の強力な恋の味方、夜久さん。
「鍵よろしく!」と私たちにウインクを残した彼は、意気揚々と先に帰って行き。
──職員室に鍵を返した私と黒尾さんは今、2人きりで駅までの道を歩いている。
「そういやさ、A合宿で木兎とメアド交換してたろ。連絡取ってんの?」
相変わらず私の歩幅に合わせてゆったり歩いてくれていた彼が、チラリとこちらを見た。
意外と感情を写してくれる、綺麗なヘーゼルの瞳。
少し前までの私は、この瞳に見つめられるのが苦手だった。
……私が彼に抱く恋心を、見透かされたくなかったから。
だけど今は、もっとこの瞳の中に写っていたいとさえ思う。
黒尾さんに、私の想いが伝わってくれたらいいのに。
──好きです、そう伝えられたら、いいのに。
「全然、1回もやりとりしてないです。他校の3年生とお話することってあんまりないし」
「あ、そうなの?」
私の返事が意外だったのか、ぱちり、黒尾さんが瞳を瞬く。
彼の言う通り、私は先日の合宿で木兎さんと連絡先を交換していた。
だけど交換しただけで、実際にメールを送り合ったことは1度もない。
もちろん木兎さんは楽しくて素敵な人だけど、私はどちらかというと、彼自身というより彼が魅せてくれるプレーが好きなのだ。
メールじゃ木兎さんのバレーを見ることはできないから、やっぱり私は彼には直接会いたい。
……早く合宿にならないかなぁ。
「木兎さんとはメールしてないけど、仁花ちゃんとはずっと続いてます。……あ、えっと、」
「烏野の子ね、覚えてるよ。仲良くなってたよな」
"仁花ちゃん"じゃ伝わらないかな、と彼女の名字を思い出そうとしたところで、黒尾さんがサラリと言った。
すごい、他校の1年マネージャーの名前まで覚えてるんだ。
「はい。すごいいい子で、可愛いんですよ」
「ふは、お友達が出来たようで何よりデス。同い年だもんな、やっぱ他のマネより話しやすい?」
「……はい」
「相変わらず素直だねぇ」
小さく頷いた私を見て、黒尾さんは楽しそうに笑う。
もちろん先輩マネさんたちも優しいけれど、やっぱり同い年っていうのは偉大だ。
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暁☆(プロフ) - 黒尾ファンさん» ありがとうございます、頑張ります🙇♀️ (4月15日 8時) (レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - お手伝いは、聞いてない〜⁉ヤバこれは、現実でもキュンってするところ。うわぁもうヤバいしか言えないこれからも頑張ってください (4月13日 7時) (レス) @page25 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - yuuuさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいです🥰 (4月11日 23時) (レス) id: f35ddf974d (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - 黒尾ファンさん» 嬉しいコメントありがとうございます!頑張りますね💪 (4月11日 23時) (レス) id: f35ddf974d (このIDを非表示/違反報告)
yuuu(プロフ) - ドキドキ、きゅんきゅんでした💖だいすきです♡ (4月11日 19時) (レス) @page24 id: 6410d877bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁☆ | 作成日時:2024年3月20日 1時