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「にしても黒尾さん、猫っぽいのに犬派なんですね」
ビブスをすべて干しきって、体育館の様子を覗きながら言う私。
もうそろそろ梟谷と森然の試合が終わりそうで、確かあの試合の後は
今回は影山くんのトスワークに注目させてもらおう、と意気込みながら、私は足元の洗濯カゴを持ち上げた。
早く戻って、スコア記録の準備しなきゃ。
「えー、猫っぽいか?俺」
いそいそと体育館に戻る私の後ろをついてきながら、黒尾さんが不思議そうな声をあげる。
「猫っぽいです。言われませんか?」
「……まあ、たまに言われる」
「ふふ、やっぱりそうなんですよ」
釈然としない
いつも飄々としているところとか、ツンとつり上がった目尻とか。
こうやって懐いたり甘えてくれたりするまでに時間がかかるとこも、やっぱり猫みたいだよなぁ。
「……じゃあさ」
相変わらず熱気のすごい体育館に入ったところで、後ろの黒尾さんが少し緊張した声を出した。
「猫派なAサンは、猫っぽい俺のことも好き?」
──あまりに突然落とされたその爆弾に、私は慌てて振り返る。
まっすぐ、熱のこもったヘーゼルの瞳が、こちらを見つめていた。
「……え、っと」
──どういう意味だ。
一気に真っ白になった頭で、どう受け取るべき言葉なのかを必死に考える。
男女間の、恋愛的な意味での"好き"を聞かれてる?
それとも普通に、たとえば猫に向けるような、愛護的な意味での"好き"?
文脈的にはどう考えたって後者だろう。
だって私たち、猫の話をしていたんだもん。
──それなのに、私を見つめる彼の瞳が、あまりにも真剣だったから。
「あっAに黒尾!もう烏野との試合始まるぞ!」
りん、よく響く高めの声が、私たちの間に漂っていた空気を切り裂いた。
ハッと意識を引き戻し、慌てて声の方に目を向ける私。夜久さんだ。
「おー、今行くー」
黒尾さんが答えながら、私のすぐ横をすり抜けてコートへ向かう。
私は咄嗟に、その彼の腕に手を伸ばした。
ぱし、乾いた音が鳴って、驚いた
「猫も、黒尾さんも、どっちも好きです」
恋愛的な"好き"を伝えることは、まだ私にはできないけれど。
少しでも伝わってくれたらいいな、そんな淡い期待を込めながら、私は小さく笑ってみせた。
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暁☆(プロフ) - 黒尾ファンさん» ありがとうございます、頑張ります🙇♀️ (4月15日 8時) (レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - お手伝いは、聞いてない〜⁉ヤバこれは、現実でもキュンってするところ。うわぁもうヤバいしか言えないこれからも頑張ってください (4月13日 7時) (レス) @page25 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - yuuuさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいです🥰 (4月11日 23時) (レス) id: f35ddf974d (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - 黒尾ファンさん» 嬉しいコメントありがとうございます!頑張りますね💪 (4月11日 23時) (レス) id: f35ddf974d (このIDを非表示/違反報告)
yuuu(プロフ) - ドキドキ、きゅんきゅんでした💖だいすきです♡ (4月11日 19時) (レス) @page24 id: 6410d877bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁☆ | 作成日時:2024年3月20日 1時