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それからすぐ、彼は気まずそうに私から視線を逸らす。
ちげーの、と呟くように言って、ぐしゃぐしゃ前髪をかき混ぜた。
「……こっちこそごめん。Aに謝らせるほど、俺の態度が変だったんだよな」
──いつも通りにできてるつもりだった、バレてないと思ってた。
そんなふうに言いながら、ゆっくり顔を伏せる黒尾さん。
カッコ悪ぃ、なんてボヤくような声がその口から零れて、全く話の読めない私はキョトンと瞬く。
「……あのな、別に俺、音駒のマネが梟谷を応援しちゃダメなんて思ってねえよ。そりゃまあ敵だけど、梟谷のヤツらは友達だし。Aは音駒を1番に応援してくれるだろうなってのも、わかってるし」
だからAが謝るようなことじゃねえの、と黒尾さんが囁くように呟いた。
──それなら何で、彼の態度はぎこちなかったんだろう。
もしかして私の勘違い……?
でもでも、……本当に何となく、黒尾さんが無理して普通に振舞ってくれているように感じたのだ。
モヤモヤ考え込む私に構わず、黒尾さんがそっと息を吐く。
ため息というよりは、緊張を紛らわすためにする深呼吸みたいな。
「……子どもっぽいのは、承知なんデスケド」
固い声で言いながら、黒尾さんがゆっくりと顔を上げた。
「Aが木兎のファンだって聞いて、……嫉妬してた」
──さっき私の「かっこいい」で赤面していたのとは、比にならない。
これでもかというほど真っ赤に染まった、黒尾さんの頬。
潤んだヘーゼルの瞳にまっすぐまっすぐ見つめられて、……頭の中が真っ白になる。
嫉妬、してた?黒尾さんが……?
「俺が勝手に嫉妬して、……言っちゃえば拗ねてただけなの。Aが、あんまり嬉しそうに木兎と話すから」
「拗ねてた」なんて、あまりにも彼には似合わないその言葉に、私は思わず息を呑んだ。
──ずっとずっと、大人っぽい人だと思ってた。
確かに時々子どもみたいな表情をすることもあるけれど、……それでも黒尾さんは、私の中ではずっと大人っぽい人で。
感情任せに動いているところなんて、見たことなかった。
それなのに今彼は、……「拗ねてたから」自分の態度が変だったのだと、そう言っていて。
「……そう、だったんですね」
返事をする自分の声が、震えた。
──黒尾さんは、私が木兎さんと話してると拗ねちゃうんですか?
それってなんか、まるで私のことを、……好き、みたいだ。
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暁☆(プロフ) - 黒尾ファンさん» ありがとうございます、頑張ります🙇♀️ (4月15日 8時) (レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - お手伝いは、聞いてない〜⁉ヤバこれは、現実でもキュンってするところ。うわぁもうヤバいしか言えないこれからも頑張ってください (4月13日 7時) (レス) @page25 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - yuuuさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいです🥰 (4月11日 23時) (レス) id: f35ddf974d (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - 黒尾ファンさん» 嬉しいコメントありがとうございます!頑張りますね💪 (4月11日 23時) (レス) id: f35ddf974d (このIDを非表示/違反報告)
yuuu(プロフ) - ドキドキ、きゅんきゅんでした💖だいすきです♡ (4月11日 19時) (レス) @page24 id: 6410d877bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁☆ | 作成日時:2024年3月20日 1時