50話 ページ5
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慌てて私もポケットから携帯を取り出し、無事に荒北さんとメアドを交換することができた。
……ほんとに連絡しない気がするんだけど、大丈夫かな。荒北さんメールとか面倒くさがりそうだし。
「ん、あんがとねェ」
「…靖友俺のメール全然返してくれないくせに」
笑ってお礼を言ってきてくれた荒北さんに、新開さんが拗ねたように口を尖らす。
……新開さんの唇、ふにふにしてて好きなんだよなぁ、なんて、ちょっと変態っぽいだろうか。
「それはオメーだからだろうが。Aチャンにはちゃんと返すっつの」
「あっひでえ!俺のも返してよ!」
「じゃあどうでもいいことばっか送ってくンな」
「ヒュウ、ほんとにひっどいな。どうでも良くはないだろ?」
ニコニコと楽しそうに笑いながら話す新開さん。
さっきまでの拗ねた表情も可愛かったけど、やっぱり新開さんには笑顔が1番似合っているように思った。
「てか福チャンはAチャンと交換してんのォ?」
「ああ。だいぶ前にしているぞ」
「はあ!?マジで俺が最後かヨ!」
荒北さんが福富さんに声をかけて行き、その隙に新開さんが私の方に来てくれる。
それだけで嬉しくなって、でも私はそれが顔に出ないように必死に耐えた。
「これでみんなとメアド交換できた?」
そう優しく微笑んで聞いてくれる新開さん。
──…荒北さんたちに向けるものとは違う、大人っぽい笑顔。
私にも3年生の先輩たちにするような無邪気な笑顔を向けてほしい、なんてワガママなのだろうか。
「えと、黒田さんたちとはまだ。てゆーか
「はは、まあ仕方ないよ。3年間あるんだ、ゆっくり覚えてけばいいさ」
「…はい、そうします」
新開さんのその優しい言葉に、私の心は少しだけ重たくなる。
……確かに私にはあと3年あるけど、新開さんたち3年生にはあと1年しかない。
今年1年で終わってしまう関係なら、できる限りたくさんの思い出を作りたい、そう素直に思った。
「……新開さんって、私にはどうでもいいメール送ってこない、ですよね」
勇気を出して、小さく新開さんに聞いてみる。
彼は垂れた青い目を瞬いて、え?と首を傾げた。
「荒北さんとはそーゆうメールもするんだなって思って…その、」
こんなことを言ったって困らせるだけかもしれない。
──それでも、少しでも近付きたいと思ってしまったから。
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暁☆(プロフ) - poyocooooooさん» コメントありがとうございます!そんなことを言っていただけて光栄です✨️ 荒北さんも手嶋さんもとってもかっこいいですよね!推しを布教できて何よりです!笑 (4月30日 22時) (レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)
poyocoooooo(プロフ) - 弱ペダの作品あまり見かけない中でこんなに素敵な作品に出逢えてとても幸せです♡荒北さん推しだった私ですが、この作品を通して見事に新開さん推しになりました😍個人的に総北で手嶋さんと絡めたのが嬉しかったです✨手嶋くんいいですよね…! (4月26日 4時) (レス) @page28 id: 7859abe11c (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - 名無し20182号さん» コメントありがとうございます!!嬉しいです🥰 更新頑張りますね! (8月23日 0時) (レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)
名無し20182号(プロフ) - 神作すぎて一気見しちゃいました💞めちゃめちゃきゅんきゅんします!!更新応援してます❕ (8月17日 21時) (レス) id: f1e05d66bf (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - ちるちるさん» コメントありがとうございます!! 嬉しいです、頑張ります😭 (5月31日 14時) (レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁☆ | 作成日時:2020年12月14日 21時