検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:3,208 hit

あいしてる4 ページ5









「なァ、テメェはなんでここに来てるんだ」





質問をした。

自分のことを話すとコイツが言ったのだから聞いてもいいと思う





「…そうね…あなたに会えるから、かしら。」




と言いその女はこちらを見ながら微笑んだ






嗚呼、綺麗だ




やはりコイツは整った顔をしている。






…そして、雰囲気が、どこか“あの人”と似通っている






俺が何だかんだ言いながらコイツに会いに来てしまうのはそのせいなのかもしれない







「…そうかい。なら俺が来なくなったらテメェはもう来ねえのか?ここに」



その質問に女は




「そうかもしれないわ」



と答えた。


だが、そのあと付け足して





「でも、もしかしたら来てしまうかもしれない。…あなたがいるかもしれないって思って」




と言った




コイツはいつもそうだ。

まるで俺が世界の全てかのようにいう。




俺も色恋沙汰には鈍くはないと思うのでコイツのこれはおそらく恋とかいうものではないのだと思う。








「…お前は、俺がお前を殺すと言ったら、逃げるか?」





その質問には女は何故か少し嬉しそうな顔をして答えた





「あなたに殺されるのなら、本望だわ。……殺してもらえるのなら、あなたに殺されたい。」






コイツはやはり何処か可笑しい。


冗談抜きで。これが素だというのなら狂人と言ってもいいと思う。






たった数日話しただけの男に殺されるなら本望などと抜かす女はそうそう、というかこの世にコイツだけなのではないだろうか。







「…死は、怖いだろう。」





死は、怖い


俺でも、怖いと思ったことがなかったわけじゃない。

だが、それでも俺が狂わないであの戦場を生き抜いて来られたのは多分自分の死というものよりも怖い“あの人”の死というものがいつも頭の何処かにあったからだろう。






なのに、この女は、そんな俺の気持ちを知らず言う







「死は…怖くないわ。…いえ、まったくもって怖くないと言ったらやっぱり嘘になる。
でも、私、死んでしまうことよりも、死ねないことの方が、怖くてならないわ。」









《死ねないことが怖い》




それは、この歳での女が言えることだろうか


いや、俺もこの女の正確な年齢など知らないのだが、まだ二十代前半くらいだろう





なのに、そんなうら若い女がこんなことを言うなんて…







やはりこの女は、何処か可笑しい









それでも、惹かれてしまうのは何故だろうか







あいしてる5→←あいしてる3



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.1/10 (7 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
5人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 高杉晋助 , 悲恋
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

十夜 - ハッピーエンドでない、って所に惹かれますね。 (2019年5月18日 13時) (レス) id: c029fe2fa8 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:高杉紗夜香 | 作成日時:2018年5月22日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。