#34 -1year past- ページ34
＊
「あー、緊張した！恥ずかしい！」
わたしの手をきゅっと握ってにこにこ笑う
怜央の顔は真っ赤で。
本当に怜央も同じ気持ちなんだなあって思うと、
また泣きそうになる。
これ、全部現実なんだ。
わたしは怜央がすきで、怜央もわたしが好き。
もう、ただの幼馴染じゃなくっていいんだ。
わたしは怜央の"彼女"だって言っていいし、
怜央はわたしの"彼氏"だって言っていいんだ。
『どうしよう、しあわせだ...』
そう思ったら、「俺も！」って怜央の声。
うわあ、心の声がつい漏れてたみたい。
試合は負けちゃったけど、
もう怜央の応援はできないけど。
約束なんて守れなくったって気にしないよ。
だってわたしはこんな風に、
怜央が隣で笑っててくれたら
それだけでこんなにしあわせだもん。
好きな人と同じ気持ちって、
こんなに嬉しいことなんだ、って。
生まれて初めて分かったよ。
こんな風に思える相手が怜央でよかったなあって、
心から思うよ。
ふと、怜央がハッとした顔になる。
『どうしたの？』って聞くと、
バッと立ち上がってわたしの後ろを指差して。
「ねえあれん！いつまでこそこそ見てんの！
恥ずかしいじゃん！」
『えっ顕嵐くん！？』
「気付いてなかったの？
ずっとそこにいたんだよあれん！」
振り返ると、にやにやした表情を抑えきれずに
手で顔を覆って歩いてくる男。
「お前ら、本当周り見えてねえのな」って、
まさか、全部見られてたとは...！
恥ずかしい、嘘、信じられない。
「あーあー、もうながつにこにこしちゃって。
俺らがどんだけ励ましても暗かったくせに」
「だって、そんなのさ！
Aに嫌われたかなって、
そればっか考えてたから...」
「嫌われてなくてよかったね？
てかお互い好きなんだもんね？」
『ちょっと顕嵐くん...！』
「恥ずかしいから言わないでー！」
「え、じゃあ好きじゃねえの？
じゃあ俺、Aのこと奪ってもい」
「それはダメ！！俺のなの！！」
「うっわ、「俺の」だって！
お前、ながつのもんになったんだな」
『顕嵐くんちょっと黙ってくれる！？』
...そんなにやにや笑ってからかわないでよ。
でも、顕嵐くんがいなかったら、
きっとこんな風にはなってないと思うから。
いっぱいの感謝を込めて『ありがとね』って
伝えると、珍しく満面の笑みが見れた。
＊
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作者名：りり | 作成日時：2017年6月7日 21時
