#11 -1year past- ページ11
＊
「俺、朝からテンションめっちゃ低いながつに
「廉教えて、神宮寺くんってどんな奴」って、
エンドレス質問攻め」
『...はあ』
「何で急にそんなん聞いてきたんか知らんけど。
俺、じんとはサッカー部で一緒やから、
いろいろ知っとるエピソード話すやん」
『うん、』
「そしたら話すればするほどむくれるわけよ。
「やっぱりいい男なんだ」とか、
「廉もあれんもどうせそっち側なんだろ」とか、
「Aだってじんくんとか呼んでるし」とか。
...で、それ聞いた後は何もかも絶不調」
『...何やらかしたの、怜央』
「体育のバスケが1番酷かったで。
せっかく濱ちゃんと組んで
手本みんなに見せる係やったんに、
変な方向にパスするわ濱ちゃんのボール見逃して
頭にぶつけるわで笑いもんやし」
『...うわあ、バスケでそれは最悪だ』
「数学は課題忘れて戸塚にど叱られ、
休み時間には扉にぶつかってたんこぶ作って、
国語は違うページ音読して淳太に呆れられ」
『...何かもうかわいそう』
「極め付けに、さっき弁当を
思っ切り床にひっくり返した。
早弁が趣味のあいつがやで」
『...早弁が趣味、は関係ないけどね』
「...とまあ、そんな調子でさ。
これはお前とじん絡みで
何かあったなとしか思えんやん？
よー分からんから、聞きにきたわけよ」
...むしろこっちが聞きたい。
わたしとじんくんに、何があったっていうんだ。
じんくんとはただのクラスメイトだし、
最近隣の席になったこと以外は別に何もない。
あだ名だってみんな呼んでるし、
怜央が気にするようなことは
1つだってないはずなのに。
てかそもそも、怜央が気にするようなことって何？
わたしがじんくんと何かあったら怜央は困るわけ？
...なんて、考えてるわたしはバカか。
あの男に恋愛感情を求めるのは無茶だ。
だから、1番近いところにいる幼馴染、って
ポジションだけは必死で守ってきたのに。
とりあえず、じんくんとは別に何もないって
ことだけ、廉くんにしっかり伝える。
「分かった、ごめんな呼び出して」
困ったように笑って、そう一言。
何だかんだ言っても、廉くんも怜央のことが
大好きで心配なんだなあ、なんて。
...廉くん"も"、とか言っちゃう自分に、
ちょっと呆れた。
＊
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作者名：りり | 作成日時：2017年6月7日 21時
