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亮平くんが帰った後はいつも、
自分の部屋がとっても広く感じる。
わたしの家庭教師になってくれてから5年以上、
それは毎回感じていることだけど、
...今日は、何だか、さらに寂しい。
亮平くんは、びっくりしながら、
明日の不安に耐えきれなくなったわたしの話を、
全部きちんと聞いてくれた。
誰かに話せるって、それだけで落ち着けて、
ありがたいことなんだな、って改めて思って。
「そんな、勉強なんかしてる場合じゃないっしょ」
って、今日だけはテキストを閉じてくれた、
亮平くんもただ賢いだけの人じゃなかったんだな、
なんて言ったら怒ったかな。
お風呂上り、お母さんの愚痴も半分に、
早々に電気を消してベッドに寝転んでみても、
そわそわして落ち着かなくて、
意味もなくぼんやり月を眺めたりして。
明日のバイト、19時から頼める？って＞
前言ってた書庫整理のやつ＞
店長からの伝言！ごめん、連絡遅なって＞
ずいぶんと遅がけに来たみっちーからのLINEにも、
早々にスタンプを返しちゃったりして。
...明日、先生は本当に来るんだろうか。
絵の参考のため、そんなこと分かってるけど、
先生は冗談のつもりだった、
とかそんな可能性だってあるよね？
どうしようもなく憂鬱で、どうしようもなく不安。
でも、どうしようもなく、期待してる。
ぼんやり思いながら、手の中で震えたスマホ。
光った名前は“道枝駿佑”、...本当に察しのいい人。
『もしもし、みっちー？』
＊
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作者名：りり | 作成日時：2019年9月1日 20時
