026 Ryohei ページ27
＊
昔から、親戚中で1番大人びた子ではあって。
高校生になってから、
その大人び方がさらに増したな、とは思っていた。
何となく、思ってはいた、けど。
「教師かあ...、いや、ちょっと衝撃が...」
そうか、Aをこんなに大人にしたのは、
恋をした相手が教師だったからなのか。
『亮平くんに言うつもりはなかったんだけど、
...ちょっと、抱えきれなくなっちゃって』
「いや、むしろそれ今までよく黙ってたよ。
だって学校で言えないでしょ、それ」
『校内だったら、まりあしか知らない。
あとバイト先の、隣の男子校の子...、
その子は先生のこと知らないから話しやすくて』
「それ以外はマジで知らないの？」
『何となくわたしの気持ちに勘付いて、
探り入れてくる後輩がいるくらい。
告白されたら『好きな人がいる』って断るから、
わたしが片思いしてること知ってる人はいるけど』
「よく黙ってられたな、えらいじゃん」
だって、それ、相手もAのこと好きでしょ。
そんな...、いくら参考資料集めだって言っても、
朝の海を見るために女の子呼び出すなんて、
相手に一定の好意がなかったらできない。
しかも、自分は教師で相手は生徒なんて、
そんなリスキーな、事実が本気だって物語ってる。
『いつも、何考えてるか分かんない人なの』
でも、その瞳の、その先を知りたくなる。
最初に目が合った瞬間から、ずっとそう思ってた。
一緒にいたらちょっと緊張して、でも、
本能なのかな、その緊張が全然嫌じゃないの。
先生がしてくれることが全部特別に思えて、
だから2人きりになれる美術室が大好きで。
隣に並ぶたび、理由とかなく、
この人が好き、って全身で分かるんだ。
そう話す横顔はまぎれもなく恋をしてる女の顔で、
俺の知ってる、ただ幼くて可愛いだけの、
いとこのAの表情ではなかった。
高校3年生は、もう十分大人なのかもしれないね。
＊
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 164人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りり | 作成日時：2019年9月1日 20時
