21 ページ23
カツンカツン・・・
暗い路地裏に私のヒールの音が響く
太宰に指定された場所へ向かうとこじんまりとした地下のbarがあった
『ここね』
ゆっくり中に入ると話し声が聞こえてきた
「大体ですね・・・太宰君は────」
太宰「安吾そう怒らないでくれよ」
ガミガミと起こる声と太宰の笑う声が聞こえて来る
近づくにつれ織田作の天然じみた言葉も聞こえてきた
扉の取手に手を起き立ち止まる
この扉を軽くひねり押せば太宰達が待っているところに付く
新しい飲み友達とも会える
なのに・・・
『・・・・・・何でこんなに手が震えるのよ・・・』
自分にとっていい事のはずなのに
手が震える
足がすくむ
────もし、あの人たちが私の過去を知ったら?
────こんなに汚れきった私を仲間として受け入れてくれるのかしら
────また一人になるのは・・・怖い
足が震え息の仕方を忘れたように喉からか細い音が出てくる
ヒューヒュー
声って・・・どう出すんだっけ・・・
身動きが取れすま固まると不意に携帯電話がなる
『あっ・・・』
着信を確認せずに通話に出ると扉の向こうと通話口から声が聞こえてきた
太宰【何故入らないんだい?】
『だざ・・・い』
ギイっと扉が開き太宰と目が合い、驚いた表情する太宰
そしてぎゅっと抱きしめられた
太宰「何があったの?」
優しく抱きしめてくれる腕に安らぎを覚える
さっきまでの恐怖が嘘のように体が自由に動く
太宰「まさか相手に酷いことされたとかッ!」
大げさな反応をする太宰に思わず笑みがこぼれる
『そうね。酷いことされちゃったわ。』
太宰の頬に手を添え綺麗な目を見る
私の顔が太宰の目に映る
汚れきった私が────
太宰「上書きを御志望かい?」
『そう見たいね』
小さなリップ音を立てて唇が離れる
太宰「相変わらず私の彼女は美しいね。まさかこの姿で来たのかい?」
『(仮)よ。間違えないで。当たり前でしょう?織田作があんなに楽しそうな顔をして待ってるって言ったんだもの。着替える暇が惜しいわ』
太宰の腕の中から離れて呆然とこちらを見ていた男性ふたりのうち、身長が高い人────織田作之助にギュッと抱きつく
椅子に座っている織田作を私が抱きしめる形だから何だか本当に弟を持った気分になった
後ろで太宰がほかの男に浮気かい!?なんて声上げてるけど知らないわ
腕の中で織田作の目があった
織田作「おかえり」
織田作が微笑む
私は微笑み返した
『ただいま』
327人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
盧飢蘆@チェシャ猫(プロフ) - candyさん» ありがとうございます! (2016年12月20日 14時) (レス) id: cfda2cb118 (このIDを非表示/違反報告)
candy - 神様!これ面白いです(^-^)これからも頑張ってください! (2016年12月20日 7時) (レス) id: 0c87bc50d4 (このIDを非表示/違反報告)
盧飢蘆@チェシャ猫(プロフ) - ☆PEANUTS☆さん» あざす!! (2016年11月12日 5時) (レス) id: cfda2cb118 (このIDを非表示/違反報告)
☆PEANUTS☆(プロフ) - 殿堂入りオメット(o´・ω・`)σ)Д`)プニョプニョ (2016年11月11日 8時) (レス) id: 8cd8589b06 (このIDを非表示/違反報告)
盧飢蘆@チェシャ猫(プロフ) - ☆PEANUTS☆さん» クソぉぉ! (2016年11月1日 8時) (レス) id: cfda2cb118 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:盧飢蘆 | 作成日時:2016年10月2日 1時