少女七竈と自信家/gr ページ14
一国の総統を目指す男、グルッペンは顔面に突き刺すような冷気を浴び近くの路地裏に避難した。
つい先程まではこんなに寒くなく、雪も降っていなかった。グルッペンは10分前に右腕的存在のトントンが言ったことを素直に聞いてマフラーを着用すべきだったと後悔した。
「あぁ、実に最悪だ」
冷たい雲の欠片を鼻頭に乗せてそう呟いた。
「……おじさん、これあげる」
ふ、と。ボロボロだが暖かそうなマフラーが目の前に現れた。真冬だというのに腕も脚も剥き出しで薄いワンピースを着た少女だ。
マフラーを突き出す手は背景に溶け込むように真っ白で細い棒のような腕には痣がいくつもあった。それは反対側にも、脚にも、顔にも――――――……
そこでグルッペンは初めて少女の全体を見た。メラニンが欠乏した真っ白の髪は伸びっぱなしで手入れされた様子はない。顔は一般的に整っていると言われるほどに見れるものだ。瞳は赤く、自分のそれよりも薄い色なのに深いなにかに魅入ってしまった。
「いるの、いらないの」
白く長いまつ毛によって瞳が隠される。
「……いらないなら、」「、君は」「……何」
「君は、そう!」「七竈みたいだ」「……なな、かまど?」
少女の背後にその木があった。赤い実には少量雪が積もっておりグルッペンの目には少女の目元はそれとそっくりに写った。
グルッペンはバッとコートの前を開け、少女を中に引き込む。
「俺はグルッペン。いずれこの国の
「……犯罪者」
「む、確かに世間一般ではそう見られるのかもしれんが……」
「……あったかい。フューラー、あったかいよ。」
「七竈は七回竈に入れても燃えないらしいな。本当かどうかは知らんがこのままもぎ取って砂糖と煮てジャム又はマーマレードにしよう」
「……わたし、ジャムにもマーマレードにもならないよ。七竈じゃなくて、Aだもん」
頭上から七竈に積もれなかった雪がAの目元に落ちた。体温によって溶けたそれは涙みたいに頬を伝った。
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お久しぶりです。雪見です。
最近めんどくさい表現の文章が好きです。めっちゃ影響されてます(汗)
ざっと解説入れると虐待されてたAが革命運動してるグルさんに拾われて暖かさに嬉し泣きするって話です。
この話が出来たのは桜庭一樹先生の『少女七竈と七人の可愛そうな大人』を読んでる最中で、七竈テーマいいなぁとか思ったからです。
ぜひ読んでみてください。
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雪見(プロフ) - イッチーさん» ありがとうございます!作者自身気力と時間があれば書きたいと思っていますので多分ぽこぽこシリーズで出てくるんじゃないかなと思います!(現実逃避) (2019年9月9日 21時) (レス) id: d89ce00aa3 (このIDを非表示/違反報告)
イッチー(プロフ) - Knオチ(?)の長編見たいです!1話だけで面白いとかどういうことですか?! (2019年9月9日 16時) (レス) id: 5ec0e9eb2a (このIDを非表示/違反報告)
ひーにゃ(プロフ) - 雪見さん» ありがとうごさいます!!書いてくれるだけ嬉しいです! (2019年7月16日 7時) (レス) id: 98b1773e06 (このIDを非表示/違反報告)
雪見(プロフ) - ひーにゃさん» リクエストありがとうございます!遅くなるかもしれませんが頑張って書いてみようと思います。イメージと違ったらごめんなさい(∩´〜`∩) (2019年7月16日 7時) (レス) id: d89ce00aa3 (このIDを非表示/違反報告)
ひーにゃ(プロフ) - 身長と慎重の続き見たいです‥‥。すんませんリクエストお願いします! (2019年7月16日 6時) (レス) id: 98b1773e06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪見 | 作成日時:2018年12月23日 20時