変わった兄妹 【太宰 治】

45話 ページ46

太宰side

最初は何故中也を呼んだのか分からなかった

私を呼べばいいだろうにと

けど、中也に言われて気付いた

Aは、この子は私からの躾を恐れているんだ

文句や泣き言を言わなくても、怒ったり泣いたりしなくても

私は中也の様に優しくはしてあげられない

水分だけは取らせろ、と言われたから水分は置いてるけど、そもそも目を覚まさない

太宰「A……済まない」

私が謝り頭を撫でた数秒後

Aが目を開けた

『兄、さん……』

思わず立ち上がろうとするとAが袖を引っ張り私を止めた

『兄さん、行かないで……夢なら、甘えても、いいでしょ？』

あぁ、そうか

君はこれが夢だと思っているんだね

私が頭を撫でるなんてした事はなかったから

『お願い、兄さん…………行かないで、一人にしないで。一人は、寂しいよ……！』

夢だと思っているなら、君が覚えていないなら

沢山甘えさせよう、一人だと思わせないように

太宰「一人になんかしない、ここにいるよ、A。一人が寂しいのは、君が本当は寂しがり屋なのは私が一番知っている。傍に居るから、安心していいんだ。だから、”泣くな”。寂しくなんかさせない」

Aは頷くと私の手を握ってきた

この子と手を繋ぐのも、何年ぶりか

そもそも、ポートマフィアに入ってから、私がこの子に触れるのは躾をする時だけだった

温かい触れ合いなんて、いつの間にか無くなっていた

『兄さん、ここに……いて。兄さんが居ないと……寂しくて、寝れないよ……』

思わずくすりと笑ってしまう

私が居ないと寂しくて寝れない

昔はそう言ってよく一緒に寝ていた

Aが寝付くまで、片時も離れなかった

離れると泣いてしまうから

太宰「一人で寝れるようになったんじゃなかったのかい？」

『今は、寝れないの……兄さんが居ないと……寝れないよ』

せっかく止んだ涙がまた溢れ出しそうだ

本当は、君が泣き虫なのをしっているんだよ

太宰「じゃあ、今日は特別だ。”兄ちゃん”が一緒に寝るよ、そうすれば寂しくないだろう？」

『うん……おやすみ』

太宰「おやすみ、可愛い私の妹」

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