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―Aside―


春の花を映し出したような、薄紅色。


そんな色をした羽織と着物は、

少女の整った幼い容姿によく似合っていた。



焦げ茶色に染まった柔らかな髪は、

雲間に抜けた陽光に透けて、

より淡い色と化している。



その髪は、

ちょうど肩の辺りで二つに縛られているので、

少女の第一印象をより幼く見せていた。




槇「挨拶」


ぼんやりとした表情で俯いたままの少女に、

槇寿郎がぶっきら棒に声をかける。




その光景を前に、

ここへ来た私たち三人は未だに状況を掴めずにいた。



いつものように口角をあげ、

真っ直ぐな視線を槇寿郎と少女に向ける杏寿郎。


不安げな表情を拭えない千寿郎。


その隣で私は、珍しい来客かと予想を立てていた。




槇寿郎の言葉に、恥ずかしげにその顔を上げた少女。


その少女の表情が一変したのを、

私は見逃さなかった。




『杏寿郎さん!!!!!!

 ……やっと……!!


…私のこと、覚えてますか……???』




顔を上げた途端、

少女の瞳は杏寿郎に釘付けになったのを

私は落ち着いて見ていた。




立ち上がった少女は、

その興奮をうまく言葉に乗せられぬまま、

よろけながら杏寿郎の方へ歩いてくる。



しかし、

苦笑した杏寿郎は一方後ろへとあとずさるので、

転びそうになる少女を私が代わりに横から支えた。




A「……」



大丈夫かと安否を問う前に、

少女が先に話し出したので


私は何も言わず目の前に少女を眺めていた。




『私です!!

 杏寿郎さん…っ、私……。

 春蘭ですっ』



春蘭(しゅんらん)と名乗る少女の体は

あまりにも熱く、

杏寿郎の方へ進もう進もうと前進する。



軽い力ではあるものの、あまりの覇気とその圧に

私も止めるのを躊躇うほどである。




一方の杏寿郎は、未だに張り付いた笑顔の裏に

隠しきれない驚きを見せたままである。



A「落ち着いてください」



状況のまとまりのなさに耐えきれず、

私は少女へと口を挟んだ。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 宇髄天元   
作品ジャンル:恋愛
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あいふぉん - 初めまして。とても素敵なお話で一気に読んでしまいました!!煉獄さんが本当にかっこよすぎて夢主が可愛すぎてっっ!!続き楽しみにしています!! (2021年10月5日 0時) (レス) id: 367ee183e7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わたあめ | 作成日時:2021年8月27日 20時

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