111 ー春蘭sideー ページ17
―春蘭side―
抱き寄せられたAの左手が、
私の背中を優しく撫でると
自然と気持ちが楽になる。
去年死別した、母親を思い出すような
不思議な気持ちになるのだ。
その一方で、
Aには敵わないというような表情の杏寿郎。
杏「すまない!!!!!春蘭!!!」
精一杯の誠意が、またも大声によって届けられるので
私の身体は再びビクついてしまう。
それと同時に、Aの私を抱き寄せる力が
強くなったのを感じた。
杏「しかし春蘭!!
Aの指導は厳しいが
必ず実りあるものになるはずだ。
Aに稽古をつけてもらった隊士は口を揃えて
ためになったと言う。
そして実際に実力が伸びている。
だから春蘭!!諦めるな!!
俺は君を信じている」
杏寿郎の暖かな手のひらが
私の肩にポンと降ろされる。
それからあの日、
彼に助けられたあの日と全く同じ、
太陽のような笑顔がそこにはあった。
私の心が無意識に解けていくのがわかった。
そして、やはり彼が好きだと気づくのである。
春「はい!
私、杏寿郎さんのために頑張ります!」
私の返事に、嬉しそうに微笑んだ杏寿郎は
目を細めた。
Aの腕と杏寿郎の手のひら。
それらはとても温かったのだ。
A「杏寿郎さん。
先に体に湯をかけてきてください。
それまでに朝食を完成させてしまいます」
杏「うむ。承知した。
楽しみにしておこう」
それでもいつもより少し寂しそうな気配のまま、
杏寿郎は台所を後にするのだった。
彼の姿が見えなくなれば、
再びAとの料理修行が始まるのである。
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あいふぉん - 初めまして。とても素敵なお話で一気に読んでしまいました!!煉獄さんが本当にかっこよすぎて夢主が可愛すぎてっっ!!続き楽しみにしています!! (2021年10月5日 0時) (レス) id: 367ee183e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わたあめ | 作成日時:2021年8月27日 20時