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―Aside―
A「春蘭。起きなさい」
早朝4時。
隣の女中部屋で、
未だに布団にくるまったままの春蘭に
声をかけるのは
これで10回目である。
春蘭がこの屋敷に来て、
早一週間以上がたった。
槇寿郎に紹介された彼女は、
彼の友人の娘でありながら、
花嫁修行のためにこの屋敷に来たと言う。
女として生まれると、
母親の炊事を手伝うことは多い。
そうやって女性は家事や炊事を学んでいくのだが、
私の場合は母親に捨てられたので
この煉獄家にて独学で学んだ。
春蘭の場合は、
14歳だった去年末に、母親と死別。
別家庭に嫁ぐための最低限のスキルを
未だに習得できておらず、
それを不憫に思った春蘭の父が
私という女中がいるこの屋敷へと
送り込んだのだという。
春蘭の着物や髪質を見る限り、
ただの一般庶民ではなく、
由緒正しい家柄に生まれ育ったことは
安易に想像がついた。
そんな彼女の家柄を考慮すると、
花嫁修行を必然的に行うことは
不自然ではない。
しかし、今の槇寿郎が何でもない他人に
ここまでの恩を売るとは考えにくい。
誰も口には出さなかったが、
槇寿郎にはまた別の企みがあるのだろうと
私は心のどこかで確信していた。
しかし、春蘭が花嫁修行をするために
ここへ来たことは紛れもない事実のようである。
つまり現段階で私がすべきことは
彼女にできる限りのことを
教え込んでやることである。
A「春蘭。今すぐ起きて作業着に着替えなさい」
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あいふぉん - 初めまして。とても素敵なお話で一気に読んでしまいました!!煉獄さんが本当にかっこよすぎて夢主が可愛すぎてっっ!!続き楽しみにしています!! (2021年10月5日 0時) (レス) id: 367ee183e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わたあめ | 作成日時:2021年8月27日 20時