肆拾捌 ページ49
No.side
そこは、伊達の者達に割り当てられている部屋｡
そこにいる彼らは、何をするでもなく壁にもたれかかっている｡
「…ねえ、伽羅ちゃん。貞ちゃん、いつまでこんな事をするんだろうね」
そんな中不意に燭台切は、同室であり昔馴染みでもある大倶利伽羅に、気持ちを吐露するかの様に問うていた｡
「…さあな。貞が満足する迄だろ」
「それもそうだけど…」
大倶利伽羅の彼らしい素っ気ない返事を受けても、燭台切は気落ちしたままだ｡
それに気付かない程、大倶利伽羅も鈍くはない｡
「どうした、光忠」
「…腑に落ちないんだよね。
鶴さん、あれだけ彼女に執着してて、貞ちゃんの事は見逃してる、なんて｡
あの鶴さんが、貞ちゃんのしている事に気付いていない訳ないのに」
「…国永の事だから、気付いていて当然だろうな」
「でしょ？だからなんでだろうってね」
「………言われてみればそうだな」
燭台切の言った内容に、大倶利伽羅も考え込む他無かった｡
それ程に、二人にとって鶴丸国永の行動が納得のいかないものでしかないからだ｡
そうして言葉を交わすことも無く二人揃って考え込んで暫くして､
『失礼する』
急に勢い良く襖を開け放った音が聞こえたかと思えば、彼女の声が、二人の耳に届いた｡
いきなりの彼女の姿に、流石の二人も驚きを隠せない｡
そんな二人の様子は取るに足らないのか、彼女は視線を部屋全体に向ける｡
「えーっと…どうしたの？」
「貞なら此処には居ない。あんたも分かってるだろ」
『嗚呼、よく分かっておるぞ。この部屋には居ないと言う事はな』
「…何が言いたい」
訝しく思った大倶利伽羅のその問い掛けに、彼女は得意気な笑みを浮かべて、こう返した｡
『其方らに言っておこう｡
妾はこれでも、鶴丸の事はよく分かっておるつもりじゃ』
それだけを言うと、彼女は部屋の壁に掛けてある掛軸に近付いた｡
その様子を認めた二人が何かを言う前に、彼女は掛軸を捲る｡
「あ…っ！」
『…当たり、じゃな』
彼女のその呟きに、燭台切は顔を覆い溜息を吐き、大倶利伽羅は我関せずと言った風にあからさまに視線を逸らした｡
彼女の視線の先＿＿＿掛軸の向こうは、何の変哲もない、ただの壁｡
けれど彼女が壁に手を当て力を入れると、そこだけが切り取られたかの様に、回転した｡
『からくり屋敷。昔はよくそこで遊んだものよ』
それだけを言うと、彼女は中に入って行った｡
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乃愛(プロフ) - 初コメ失礼します！私、愛され大好物なので嬉しいです！刀剣男士全員推しなので嬉しいです！更新頑張ってくださいね！ (2023年4月7日 21時) (
レス) id: 3b02df20c8 (このIDを非表示/違反報告)
詩月(プロフ) - 胡蝶蘭さん» 胡蝶蘭さん、感想とリクエスト有難うございます！お返事が遅くなりすみません…続編移行をした際に書かせて頂きますね！ (2019年9月16日 7時) (レス) id: 47903b2cc4 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶蘭 - 最後まで見ました！面白かったです！リクエストで、小烏丸と夢主の夫婦的行動みたいなのが見たいです！小烏丸が皆の父上なら平安組より前から生きてる夢主は母上なのではみたいな？（＞ｍ＜）☆ｵﾈｶﾞｲｼﾏｽ (2019年8月26日 2時) (レス) id: 1fa4972d94 (このIDを非表示/違反報告)
咲くや - 面白くて続きが気になります 更新頑張ってください。 (2019年5月27日 23時) (レス) id: 2369d330ed (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 乱ってもしかして女の子の格好を禁止されてんなら女の子の服を持って土下座してでも「男の娘になってください！」って言うよ← (2019年5月1日 9時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩月 | 作成日時：2019年2月26日 3時
