肆拾漆 ページ48
No.side
『後一人は、太鼓鐘か』
それ迄は順調に見つけていった彼女も、後一人という場面になってどうやら苦戦をしている模様｡
どれだけ探しても、見つからない｡
断りを入れて各々の部屋に入らせて貰ったが、それでも彼の姿は何処にも無い｡
そうして見つからない中、時間だけは過ぎていく｡
気が付けば、彼女自身が決めた申の刻が目前に迫っていた｡
自身で決めた “決まり” を破る訳には行かない。相手が彼らとの “決まり” なら尚更の事｡
普段は余り表情を崩さない彼女にも、焦りの色がほんの僅かながら見えてきた頃、それは提案された｡
「A、ぼくたちもたいこがねをみつけるの、てつだいますよ」
「そうだよAさん、ボク達にも手伝わせて！このままじゃ…」
「そっか…Aさん、俺達と決まり事をしたんだよね…」
「 “約束” には及ばねぇが、それでも俺達相手にした決まり事だ｡
守れなかったらどうなるかぐらい、Aなら分かるだろう」
上から順に今剣、乱藤四郎、信濃藤四郎、薬研藤四郎、彼ら四人が彼女に声を掛けた｡
決まり事を守れなかった際の事の顛末がどうなるかぐらい、分からない者は此処には居ない｡
だからこそ、彼らは彼女の身を案じた｡
けれど、彼女は彼らの声に首を振るだけだった｡
『其方らの申し出は嬉しい事じゃ。しかしこれは、妾が鬼の隠れ子｡
妾が最後の一人まで見つけ出さねば意味を成さぬ』
彼女は分かっていた｡
自身が太鼓鐘に試されている、という事を｡
彼女の内にある静かながらも揺るがないその決意に、彼らもそれ以上を言う事は無かった｡
＿＿＿＿＿＿＿＿＿
然しながらそう悠長な事を言っていられないのもまた事実｡
彼らの力を借りずに太鼓鐘を見つける、それはまだ此処に来てから日の浅い彼女では些か困難な事であった｡
考え込んでいても時間は過ぎるだけだ｡
彼女は闇雲に太鼓鐘の姿を探していた｡
そんな最中、彼女は不意に足を止めた｡
急に立ち止まった彼女を不審に思ってか自身を見上げてくる今剣に、彼女は問うた｡
『のう、今剣や。太鼓鐘は誰と同室じゃ』
「たいこがねですか？かれならだてのものたちとどうしつですよ」
『それは鶴丸も、という事か？』
「はい」
『…ふむ、成程。其処におったという訳じゃな』
今剣の返答から何かに気付いたらしい彼女は、とある部屋を目指して足を進める｡
果たして彼女は、一体何に気付いたのか｡
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乃愛(プロフ) - 初コメ失礼します！私、愛され大好物なので嬉しいです！刀剣男士全員推しなので嬉しいです！更新頑張ってくださいね！ (2023年4月7日 21時) (
レス) id: 3b02df20c8 (このIDを非表示/違反報告)
詩月(プロフ) - 胡蝶蘭さん» 胡蝶蘭さん、感想とリクエスト有難うございます！お返事が遅くなりすみません…続編移行をした際に書かせて頂きますね！ (2019年9月16日 7時) (レス) id: 47903b2cc4 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶蘭 - 最後まで見ました！面白かったです！リクエストで、小烏丸と夢主の夫婦的行動みたいなのが見たいです！小烏丸が皆の父上なら平安組より前から生きてる夢主は母上なのではみたいな？（＞ｍ＜）☆ｵﾈｶﾞｲｼﾏｽ (2019年8月26日 2時) (レス) id: 1fa4972d94 (このIDを非表示/違反報告)
咲くや - 面白くて続きが気になります 更新頑張ってください。 (2019年5月27日 23時) (レス) id: 2369d330ed (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 乱ってもしかして女の子の格好を禁止されてんなら女の子の服を持って土下座してでも「男の娘になってください！」って言うよ← (2019年5月1日 9時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩月 | 作成日時：2019年2月26日 3時
