参拾陸 ページ37
乱side
『一期と約束をしてな。其方の傷を軽くする、と｡
そのためには其方から話を聞く他なくてなぁ』
「…何、言って………」
この人は、何を言ってるんだろう｡
ボクの傷を軽くするって、何｡
『一期がいれば話しにくいこともあるだろうと思ったんだが』
「そんなの、関係ないよ…」
ボクの声は、きっと酷く抑揚のないものだったと思う｡
それぐらい、ボクは憤っていた｡
なのに目の前の人は、ボクの声が聞こえていないのか、ずっと喋り続けてる｡
『妾は其方の事をあまり聞いておらんくてな。其方の口から教えてくれぬか？』
「ふざけないで！！！」
『…………』
ボク自身でも気付かないうちに、ボクは大声をあげていた｡
もう、聞いていられなかった｡
「ボクの傷を軽くする？そんな簡単に言わないでよ｡
ボクの気持ちなんて、貴方に分かりっこない｡
ボクの事何も知らないくせに、知ったような口利かないで」
そう早口で捲し立てたのに、この人の表情は何も変わっていない｡
ここに来てから、ずっと同じ笑みを浮かべている｡
本心を窺わせない、そんな笑みを｡
『…それだけ言えるんだ。随分と溜め込んだか』
「は……、」
『聞かせてはくれぬか？其方の身にあったことを｡
其方が、それ程の傷を抱えることになった出来事を』
今度は、随分と落ち着いた声でそう言われた｡
さっきとは違って、心に入り込むような、けれど決して嫌な気持ちはしない声色で｡
「…貴方は、何がしたいの」
『妾は其方の心に寄り添いたい、それだけじゃ｡
ただ先のは幾らか荒療治ではあるからのう。聞き出す為とはいえ気分を害させてすまなかった』
「別に…。貴方の掌に転がされたのは事実だし」
『それは心外だのう。まぁ良い。して、教えてくれるか？』
「…うん。教えてあげる」
ここまで見透かされたんだ。ボクも腹を括ろう｡
加州さんがこの人を主と認めた理由が、少しだけ分かった気がする｡
この人は、周りをよく見ている｡
さっきのも、この人はボクを煽っているようで、ボクのことをよく見ていた｡
『人は、触れられたくないことに触れられた時、話を逸らすなり声を荒らげるなりするものだ｡
それは其方ら付喪神とてさして変わらん｡
そして、真に触れられたくないものに触れられた時、心の奥底の本音が垣間見えるものよ』
そう、静かに語られたそれ。
全く持って、その通りだと思う｡
現にボクがそうだった｡
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乃愛(プロフ) - 初コメ失礼します！私、愛され大好物なので嬉しいです！刀剣男士全員推しなので嬉しいです！更新頑張ってくださいね！ (2023年4月7日 21時) (
レス) id: 3b02df20c8 (このIDを非表示/違反報告)
詩月(プロフ) - 胡蝶蘭さん» 胡蝶蘭さん、感想とリクエスト有難うございます！お返事が遅くなりすみません…続編移行をした際に書かせて頂きますね！ (2019年9月16日 7時) (レス) id: 47903b2cc4 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶蘭 - 最後まで見ました！面白かったです！リクエストで、小烏丸と夢主の夫婦的行動みたいなのが見たいです！小烏丸が皆の父上なら平安組より前から生きてる夢主は母上なのではみたいな？（＞ｍ＜）☆ｵﾈｶﾞｲｼﾏｽ (2019年8月26日 2時) (レス) id: 1fa4972d94 (このIDを非表示/違反報告)
咲くや - 面白くて続きが気になります 更新頑張ってください。 (2019年5月27日 23時) (レス) id: 2369d330ed (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 乱ってもしかして女の子の格好を禁止されてんなら女の子の服を持って土下座してでも「男の娘になってください！」って言うよ← (2019年5月1日 9時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩月 | 作成日時：2019年2月26日 3時
