参拾肆 ページ35
小狐丸side
『しかし、小狐丸がこんなに美味しい稲荷を作るとはな』
「おや、意外でしたか」
『嗚呼。散々野生と言っておるからな、お主』
「野生の私めは嫌いです？」
『まさか。それに野生か、など関係無しに妾が小狐丸を嫌いと思うことは断じてないぞ』
「…A、貴方は、」
私を喜ばせるのが随分と上手い｡
談笑を交えながら私の作った稲荷を食べるAの表情はなんとも愛らしい｡
見ているだけで満たされるとはまさにこの事でしょうね｡
しかし、そんな中、不意にあの狐の気を感じた｡
全く、彼奴はいつも肝心なところで邪魔をしてくれる｡
「…出てきては如何です」
「いやはや、小狐丸様には隠し通せませんな」
『お主は…』
「お初にお目にかかります、審神者様。私はこの本丸のこんのすけでございます」
『こんのすけ…嗚呼、お主が｡
妾はAじゃ。気軽にAと呼んで欲しい』
「ではA様と呼ばせて頂きますね」
『嗚呼。そうしてくれると有難い』
折角Aと二人きりだったというのに｡
とんだ邪魔が入ってしまったか｡
『小狐、丸…？』
「如何しましたか、A？」
『…いや、なんでもない。妾の気の所為だ』
「そうですか」
私の顔を遠慮がちに覗き込み問うてきたかと思えば、首を振って引き下がったA｡
だが、今回ばかりはAが鈍くて助かった｡
隠していたつもりだったが、どうやら嫉妬故の劣情が漏れ出てしまっていた様だ｡
その証拠に、目の前の狐は震え上がっておる｡
全く、神が嫉妬深いことは、お主が1番分かっておると思うがな｡
なあ？政府の管狐よ｡
「…A殿。少し、宜しいですかな」
『一期？妾は大丈夫だが、どうかしたか？』
「A殿に折り入って、お願いがありまして」
「…こんのすけ、」
粟田口の者が何故Aの元に来たのか、それが分からない私ではない｡
狐の名を呼べば、彼奴も気付いたのか、此方に歩みを進める｡
狐を伴わせて粟田口の者の横を通り過ぎる際、Aには聞こえぬ様に、けれど粟田口のには聞こえる様に耳打ちをしておいた｡
「粟田口の、漸く心を決めたようですね｡
Aは、心においては人一倍扱いを得ていますから｡
Aなら、貴方の弟も救ってくれますよ」
「小狐丸殿…」
1つ貸しですよ、一期一振｡
折角Aと二人きりだったその時間を、貴方に差し上げるのですからね｡
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乃愛(プロフ) - 初コメ失礼します！私、愛され大好物なので嬉しいです！刀剣男士全員推しなので嬉しいです！更新頑張ってくださいね！ (2023年4月7日 21時) (
レス) id: 3b02df20c8 (このIDを非表示/違反報告)
詩月(プロフ) - 胡蝶蘭さん» 胡蝶蘭さん、感想とリクエスト有難うございます！お返事が遅くなりすみません…続編移行をした際に書かせて頂きますね！ (2019年9月16日 7時) (レス) id: 47903b2cc4 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶蘭 - 最後まで見ました！面白かったです！リクエストで、小烏丸と夢主の夫婦的行動みたいなのが見たいです！小烏丸が皆の父上なら平安組より前から生きてる夢主は母上なのではみたいな？（＞ｍ＜）☆ｵﾈｶﾞｲｼﾏｽ (2019年8月26日 2時) (レス) id: 1fa4972d94 (このIDを非表示/違反報告)
咲くや - 面白くて続きが気になります 更新頑張ってください。 (2019年5月27日 23時) (レス) id: 2369d330ed (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 乱ってもしかして女の子の格好を禁止されてんなら女の子の服を持って土下座してでも「男の娘になってください！」って言うよ← (2019年5月1日 9時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩月 | 作成日時：2019年2月26日 3時
